中西博教授らの研究グループが明らかに
九州大学大学院歯学研究院の中西博教授らの研究グループは2月19日、マウスによる研究で、二次リンパ組織である脾臓における樹状細胞のリソソーム酵素カテプシンSの働きによる抗原特異的なCD4+T細胞の活性化が、神経障害性疼痛の慢性化に重要であることを明らかにした。
この研究は、独立行政法人 科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業チーム型研究の一環として行われたもの。研究成果はアメリカの神経科学会誌「Journal of Neuroscience」にオンライン掲載されている。
(画像はプレスリリースより)
神経障害性疼痛治療薬開発への可能性提示
活性化したCD4+T細胞は、脊髄後角へ浸潤し、インターフェロン-γ(IFN-γ)を産生分泌し、ミクログリアの活性化をさらに深化させることが、疼痛の慢性状態への移行に極めて深く関わっていると示唆される。
研究では、野性型マウスは神経障害に伴い、2次リンパ組織である脾臓の肥大化が認められ、IFN-γを発現したCD4+T細胞(Th1 細胞)の増大が確認でき、脾臓に分布する樹状細胞において、カテプシンSが増大することが明らかとなったという。
一方、カテプシンS欠損マウスでは、これらの変化などは確認されず、神経障害性疼痛の維持・慢性期の疼痛が、有意に緩和することが認められたとしている。また、野生型マウスの脾臓摘出によっても、神経障害性疼痛の維持・慢性化が有意に抑制されたという。
プレスリリースでは
と述べられている。(小林 周)
▼外部リンク
九州大学 プレスリリース
http://www.kyushu-u.ac.jp/pressrelease/
Peripheral Role of Cathepsin S in Th1 Cell-Dependent Transition of Nerve Injury-Induced Acute Pain to a Chronic Pain State
http://www.jneurosci.org/content/34/8/3013