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国循脳卒中レジストリー「NCVC Stroke Registry」が1万例登録を突破-国循

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2022年05月12日 AM10:45

国循脳血管内科と脳神経内科が合同で2011年より登録開始、改良を継続

)は5月11日、国循脳血管内科(古賀政利部長)と脳神経内科(猪原匡史部長)が合同で2011年より登録を開始した急性期脳卒中入院患者の登録事業「NCVC Stroke Registry」の登録患者数が、1万例を超えたと発表した。

国循脳血管部門の内科系2科では、従来から多くの単施設臨床研究が行われてきた。それぞれの研究は、入院患者の名簿をもとに、各研究者が診療録記載や画像データに立ち戻って必要な臨床情報を収集することから始まった。同一主題の一連の研究が続くようになると、その主題に該当する連続症例のデータベースを継続して管理することも増えてきたが、基本的には当該研究者の努力に負うところが大きい状況が続いた。一昔前は、自らの研究に必要な情報を自ら収集することが当たり前だったが、問題点として、非効率性とともに臨床情報の正確性、悉皆性がどの程度担保されるかなどの重大な点も指摘されるようになった。

2005年に急性期脳梗塞への静注血栓溶解療法(tPA静注療法)が承認されたことを機に、この治療を受けた症例の詳しい臨床情報を収集したデータベースを2科共同で作成、管理するようになり、この頃から対象をより拡大したデータベースの必要性を考えるようになったという。

当時のスタッフ医師、後期研修医(レジデント)をあげて、新たなデータベースの管理方法や必要な入力項目などについて何度も話し合い、2011年1月1日より2科合同で、急性期脳梗塞、、一過性脳虚血発作患者の連続登録を開始した。この登録事業は施設内の倫理委員会で研究承認を受け、ホームページなどを用いて、患者や家族に研究の説明を行い、倫理面でも十分な配慮を行った。また、介入試験ではないものの、米国国立医学図書館が管理する臨床試験登録サイト「ClinicalTrials.gov」にもこの事業の目的や方法 、透明性を保つように努めた。その後の10年余りで、診療技術の進歩に伴う入力項目の加除や、研究倫理概念の変化に対応した管理方法の改良を続け、2022年3月2日に通算1万例目が登録された。

1万例の内訳は、急性期脳梗塞66.7%、急性期脳出血22.3%、一過性脳虚血発作11.0%

1万例の内訳は、急性期脳梗塞6,671例(66.7%)、急性期脳出血2,228例(22.3%)、一過性脳虚血発作1,101例(11.0%)で、年齢は73±13歳、女性が3,961例(40.0%)を占める。大半の症例は、発症1年後の転帰(日常生活の自立度、脳心臓血管病の再発)まで情報が収集されている。

これらの情報は、診療科で責任をもって管理し、責任者が定期的にデータクリーニングを行うことで、正確で悉皆性の高い、倫理的観点からも適切に管理された登録を維持できたとしている。これにより、研究対象となる大規模な患者集団からの情報収集が容易となり、臨床研究に多いに役立っている。

「脳血管障害医学の発展に貢献し得る情報を発信し続けたい」

NCVC Stroke Registryを用いて、多くの臨床研究が世界に発信された。過去のプレスリリースでも「脳梗塞は冬の病気?夏の病気?(2018年4月)」「脳血管内治療における転帰良好を期待し得る脳梗塞体積の限界量の同定(2020年12月)」「COVID-19蔓延下の急性期脳梗塞に対する再開通療法におけるワークフローの時間の変遷の検証(2021年8月)」「日本人でも急性期脳梗塞の発症24時間までのカテーテルを用いた脳血管内治療に灌流画像が有用(2021年12月)」「RNF213 p.R4810K多型は頭蓋外頚動脈の細小化と関連する(2022年3月)」「内頚動脈の屈曲蛇行が脳梗塞機械的血栓回収術に与える影響を解明(2022年4月)」など、さまざまな研究が、同データベースを用いて行われた。また、多くの症例報告が登録症例の中から発表され、医療行政に関する参考資料もデータベースに基づいて多く作成されている。

「今後も先輩たちが創始したこの登録事業を、適切に大事に維持し、国内外の脳血管障害医学の発展に貢献し得る情報を発信し続けたいと願う」と、研究グループは述べている。

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