厚生労働省の「保健医療分野AI(人工知能)開発加速コンソーシアム」が8日に開かれ、バイオ医薬品開発にAI活用を求める声が上がった。日本がバイオ医薬品開発で諸外国に遅れている現状を踏まえたもの。低分子創薬に対応したAI創薬プラットフォームを開発中の日本医療研究開発機構(AMED)も「注力すべき課題」との認識を示した。
AI活用による創薬にかかる費用、期間の削減に向けた国の施策として、AMEDと産業界の連携による次世代創薬AI開発等を実施している。2020年度から5年間で創薬研究に関するデータを集約して産学で利用可能な化合物設計AIの開発を目標とし、昨年11月までに100万超の化合物データを取得した。
この日の会合では、AI活用を促すためにさらに必要な施策を議論した。AIによるターゲット探索について、山本晴子委員(医薬品医療機器総合機構理事長特任補佐)は「日本が今まで強かった低分子領域にはフィットする」としつつ、「新薬開発や世界における売上の遅れは、バイオ医薬品の開発が遅れて品目数が少ないことが大きい。バイオ医薬品をAIでどう作るかという最先端分野に切り込んでほしい」と国に注文をつけた。
AMED理事長の三島良直委員も、AMEDの事業について「まだ低分子の領域なので、バイオ医薬品等にも適応できることを視野に進めたい」とした。
プラットフォームを利用する企業の視点から、保科学世委員(アクセンチュアAIセンター長)は「ゲノム情報と診療情報(臨床情報)を組み合わせれば、仮に高額な利用料でも使用したいものになる。利用料を取ることで、初めてサステナブルな仕組みになるのでは」との考えを示した。