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アスピリンで大腸がんの前駆病変ポリープの再発リスクが減少

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2014年02月25日 PM12:45

薬剤による大腸がん予防、臨床試験における国内初の成果

独立行政法人国立がん研究センターと京都府立医科大学など全19施設の多施設共同研究グループは2月13日、薬剤による大腸がん予防につながる臨床試験を実施し、国内では初めて、その有効性を確認することに成功したと発表した。

これは第3次対がん総合戦略研究事業「がん化学予防剤の開発に関する基礎及び臨床研究」の研究グループによる研究成果で、その詳細は国際的な消化器病関連誌である「GUT」に掲載予定となっているほか、1月31日付のオンライン版で先行掲載されている。

投与した薬剤は、解熱鎮痛薬や抗血小板薬として用いられるアスピリン。欧米では大腸がんの抑制に有効性を示す臨床試験研究結果が得られているが、これまでアジア圏における同様の研究結果はなく、アジア人でのエビデンスは乏しい状況だった。

(画像はwikiメディアより引用 Author : Nephron

40%程度再発リスクが減少、非喫煙者では60%以上減少

研究グループでは、大腸がんの前駆病変である大腸ポリープ(腺腫)を内視鏡的に摘除した患者311人を対象に、低用量アスピリン腸溶解錠(1日あたり100mg)またはプラセボを2年間投与し、二重盲検無作為化比較試験を実施。その再発リスクを検証した。

その結果、アスピリン投与群では、プラセボ群に比べ大腸ポリープの再発リスクが約40%減少したことが確認されたという。この結果は欧米人における報告結果とほぼ同等かそれ以上の効果を示すものであり、研究グループでは、アスピリンは日本人の大腸がん再発も抑制できる可能性が高いとみている。

またサブグループ解析により、このアスピリンの有効性は、喫煙者では示されず、非喫煙者で増強され、60%以上再発リスクを減少することも明らかとなった。なお、今回の臨床試験を通じ、アスピリンの副作用として懸念される出血などの重大な副作用はみられなかったという。

大腸がんの予防法としての確立に期待

大腸がんの罹患率が比較的高い日本において、すでに安全性の確立している廉価な既存薬のひとつであるアスピリンにより、大腸ポリープの抑制効果が確認されたことは、新しいがん予防の方法としてはもちろん、医療経済面でも注目される成果である。

研究グループでは、今後より大規模な検証を実施し、有効な予防法としての確立と、家族性大腸腺腫症(家族性大腸ポリポーシス)やリンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸がん)のオーファンドラッグ開発・承認なども目指していきたいとしている。(紫音 裕)

▼外部リンク

独立行政法人国立がん研究センター プレスリリース
http://www.ncc.go.jp/jp/information/

The preventive effects of low-dose enteric-coated aspirin tablets on the development of colorectal tumours in Asian patients: a randomised trial
http://gut.bmj.com/content/early/2014/

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