厚生労働省は、2020年薬剤師統計の概況を公表した。全国の薬剤師数は18年の前回調査から1万人超増加した32万1982人で過去最多となった。薬局薬剤師数は4.7%増の18万8982人と病院薬剤師の伸びを上回り、病院と薬局の薬剤師数の差がさらに拡大した。薬局薬剤師が大幅に増加する一方、大学や医薬品関係企業に勤務する薬剤師は減少した。
統計は、薬剤師法に基づいて2年に1度届け出られた薬剤師の各届出票を集計したもの。20年12月31日現在の全国の「薬剤師数」は32万1982人で、前回から1万0693人(3.4%)増加。性別では、女性が19万7740人で総数の61.4%を占め、男性は12万4242人で38.6%だった。人口10万人当たりの薬剤師数は255.2人で、前回から9.0人増加した。
従事している施設・業務別に見ると、「薬局」が18万8982人(58.7%)で、前回から8567人(4.7ポイント)増加した。一方、薬剤師不足が叫ばれる「医療施設」の従事者は6万1603人(19.1%)と1647人(2.7ポイント)増加し、6万人を突破した。このうち、「病院」は5万5948人、「診療所」は5655人だった。
「大学」は5111人で、前回から152人減少したほか、「医薬品関係企業」も3万9044人で2259人減少した。「衛生行政機関または保健衛生施設」は6776人で115人増加した。
薬局と医療施設(病院・診療所)に従事する人口10万人当たりの薬剤師数は198.6人で、前回から8.5人増加。都道府県別に見ると、徳島県の238.6人が最多で、次いで東京都の234.9人、兵庫県の233.9人が続いた。最少は沖縄県の148.3人で、福井県の157.0人、青森県の161.2人の順となり、薬剤師の地域偏在が課題として浮き彫りとなっている。