コロナ禍でワクチン・治療薬の研究開発が諸外国よりも遅れた経験を踏まえ、2021年6月に閣議決定されたワクチン開発・生産体制強化戦略では、第2期AMED中長期目標を変更して同戦略を盛り込む必要があると記載。項目として、▽ワクチン・新規モダリティ研究開発事業▽ワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点の形成▽創薬ベンチャーエコシステム強化事業――を挙げていた。
この日の審議会では、内閣府事務局から具体的な変更案が示され、ワクチン・新規モダリティの研究開発では、SCARDAにおいてワクチン等の研究開発事業を推進すると記載。国内外における関連分野の研究開発状況を把握・分析し、戦略的資金配分を通じて革新的な新規モダリティの研究開発を進め、応用研究や第II相までの臨床試験のために研究開発を進めるとした。
ワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点の形成では、研究開発拠点としての整備を行うと共に、出口を見据えた関連研究を強化、促進するとした。
創薬ベンチャーエコシステム強化として、ベンチャーキャピタルの目利き力を生かした優良ベンチャーの発掘と育成、投資能力、規模の拡大などエコシステム全体の底上げを図るとし、具体的には感染症ワクチン・治療薬開発に転用できる可能性のある革新的モダリティの実用化開発を行うベンチャーに支援すると明記した。
SCARDAについて、松尾真紀子委員(東京大学大学院特任准教授)は「制度の継続性を担保できる仕組みにしてほしい」と要求。辻篤子委員(中部大学特任教授)も、「基礎から応用まで見通せる人材を集めてほしい。専門的知見を生かせる環境を作ることで、優れた見識を発揮できる体制を整備すべき」とした。内閣府健康・医療戦略推進事務局の八神敦雄事務局長は「年度内にスタートできるよう準備を進めている。SCARDAと様々な情報連携を取り、弾力的で思い切ったランディングをしないといけない」と応じた。