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日本人未婚者、男女とも婚姻相手に求める条件・収入・年齢等でミスマッチ-東大

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2022年02月07日 PM12:15

「結婚願望はあるのに未婚のまま」が半数、パートナーに求める要件などを調査

東京大学は2月3日、2015年出生動向基本調査を用いて結婚願望がある日本人未婚者の特性及びそのような人々が婚姻相手の要件として何を重視しているかを調べ、その結果を発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科国際保健政策学教室のピーター上田客員研究員、坂元晴香特任研究員、野村周平特任助教らの研究グループによるもの。研究成果は、「Plos One」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

一般的に、人は結婚相手を探す際、相性や年齢、性格、収入などその人それぞれが持つ「結婚相手の基準」を参考にして相手探しを行う。しかし、例えば、現在の日本の婚活市場に、すなわち未婚の男女の中に、どのような学歴・収入・居住地等の人がどの程度存在するのかその実態は明らかになっていない。また、結婚の意思を有するが未婚の男女の約半数が独身でいる理由として「適切な相手に巡り会えなかった」ことを挙げているが、具体的に「婚活市場」においてどのような需要と供給のミスマッチが起きているか実態も明らかではない。

研究では、2015年に行われた国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査を用い、日本の婚活市場にはどのような人がいるのか、彼らの特性とパートナーに求める嗜好について、所得、教育、年齢を中心に分析した。まず、社会経済的要因によって、結婚できる可能性や結婚の意思がどのように変化するかを評価した。次に、結婚意思のある未婚女性と男性の絶対数を推定し、その特徴を説明した(婚活市場の数値化をした)。最後に、結婚相手として重視される要素、年齢の好みを分析し、日本の結婚市場における需要と供給のミスマッチがどこに存在するのか、その可能性を探った。

結婚意思のある未婚者、2015年は女性848万人、男性983万人と「男性余剰」

女性(18~49歳)では、収入と婚姻の関係はU字型であり、収入が最も少ない層と収入が最も多い層でより結婚していた。また、同じ年代層の女性では、学部卒の女性で最も結婚率が高く(77%)、高卒以下(69%)、大学院卒(64%)はもっとも結婚率が低かった。一方男性(18~49歳)では、収入と結婚は比例の関係にあり、収入が高くなるに連れて既婚者の割合が増えた。年収700万円以上の男性では、84%(24~39歳)、92%(40~49歳)が既婚者であり、40~49歳の男性では、教育水準が高いほど結婚している割合が高くなった。

また、結婚の意思については、2015年の日本の18〜49歳の女性2281万人のうち、既婚者は1236万人(54%)、結婚意思のある未婚者は848万人(37%)、結婚意思のない未婚者は196万人(9%)であった。男性で同年齢層2312万人のうち、既婚者は1095万人(47%)、結婚意思のある未婚者は983万人(43%)、結婚意思のない未婚者は233万人(10%)であった。18〜24歳では女性も男性も同数であるが、25〜39歳では約80万人(男女比1.22)、40〜49歳では約50万人(男女比1.38)と男性の方が余剰であることがわかった。

人口非過密地域、関東地方で特に男性余剰が顕著

結婚意思のある未婚男性は、結婚意思のある未婚女性より全国で134万人多く男性余りの状況。社会経済因子別に見ても「男性余り」の状況があり、例えば、高卒以下の学歴の男性は高卒以下学歴の女性より100万人以上多く、正社員についても同様の差が観察された。また、居住地域別では、人口非過密地域(男女比1.31)、関東地方(男女比1.23)で特に男性余剰が顕著(約60万人)であった。

結婚に際しては、特に女性において自分より収入や学歴が上の人(上昇婚)もしくは少なくとも同等の人が良い(同類婚)との希望を持つことが多いとされる。女性から見て、婚姻によって上昇婚/同類婚を達成するための男性1人当たりの女性の数は、年収500万円未満で2.5人(年収500万円未満の女性が自分以上の年収の男性と結婚したい場合、その条件に当てはまる男性1人に対し、女性が2.5人存在する)、年収700万円未満で13.7人であった。また、年収に加えて大卒の男性のみを対象とした場合の数値は、4.9、21.7であった。つまり、年収500万円未満の女性が、大卒かつ自分と同等もしくはそれ以上の収入のある男性と結婚したいと思った場合、その条件に見合う男性人に対して存在する女性の数は4.86人であった。

結婚相手に対して重視する項目、男女ともに「性格」は高値

結婚相手に対して重視する項目は、出生動向基本調査に含まれる8項目の中で、男女ともに性格(女性:89%、男性:75%)、家事・育児に対する姿勢・能力(54%、44%)であった。女性は、男性よりも多くの項目を「重視する」と回答した(「重視する」と回答した項目の平均数:女性3.0対男性2.1)。

さらに、項目別に重視すると答えた男女の割合を見ると「容姿」では男性の割合が高かったが(15%対23%)、容姿を除くすべての項目で「重視する」と答えた女性の割合は男性よりも多かった(すべての項目で男女の差のp値、p<0.0001)。「重視する」と回答した割合の男女差は、経済(女性38%対男性4%)、職業(28%対5%)、性格(89%対75%)で最も大きかった。男女とも学歴が高いほど「重視する」と回答する項目が増える傾向があり、同様に、女性では、学歴を「重視する」「考慮する」と回答する割合が、収入の増加とともに増加した。

男性は「夫婦の年齢差が大きい」ことが望ましいとする傾向、結婚希望年齢に性差

男女とも、夫が妻と同い年か年上であることが望ましいと回答している人が多いが、男性は夫婦の年齢差が大きいことが望ましいとする傾向があった。例えば、7歳以上の年齢差を理想とする男性は215万人(22%)であるのに対し、女性は50万1千人(6%)であった。

結婚の意思がある男性(40~49歳)では116万人が7歳以上の年齢差を理想の年齢差として示したが、25~39歳の女性で同様の年齢差での結婚を希望する女性は約25万人(7%)にとどまった。

女性では、結婚相手の平均年齢が自分の理想とする結婚年齢より1~3歳程度高い傾向が見られた(ピアソン相関係数、0.85、p<0.0001)。しかし、男性では、26歳までは理想の結婚年齢と理想とする結婚相手の年齢が同じであったが、それ以降は自分より若い女性を好む傾向があり、年齢が上がるにつれてその差が大きくなり、理想の結婚年齢が48歳のとき、パートナーとして望む相手の平均年齢は36歳であった(Pearson correlation coefficient, 0.70, p<0.0001)。

収入等の条件、結婚希望年齢、いずれにも男女でミスマッチ

高収入・高学歴の男性が好まれることは、以前から「三高」(高収入、高学歴、高身長)という言葉で表現されてきた。三高は、1980年代後半~1990年代前半のバブル期に特に広まった、夫として望ましい条件を表す言葉であり、女性がフルタイムの仕事と子育ての両立が難しいことや、女性は主に家庭を守るものであるという時代背景が、この選好の一因であったと思われる。

実際に、これまでに報告されている通り、高収入、定職、高学歴(40~49歳の場合)であるほど、結婚できる可能性は高まることが明らかになったが、同時に三高のうちの2つ(収入・学歴、今回の調査で身長は調査対象外)を満たす人がいかに少ないかも明らかになった。年収700万円以上の男性では、84%(25〜39歳)、92%(40〜49歳)が既婚であるのに対し、年収0〜100万円未満では既婚者の割合は23%(25〜39歳)、33.4%(40〜49歳)であった。

このように、低収入の男性が多いこと、また彼らはすでに結婚している可能性が低いため(実際にはこのような低収入の男性では結婚の意思を有さない人の割合が多いにもかかわらず)、日本の結婚市場の大半はこのような男性で占められている。例えば、年収0〜300万円の男性は618万人(62%)、年収400万円以上の男性は196万人(20%)であり、年収700万円以上の男性はわずか16万7000人(2%)であった。年収700万円以上の男性では、その約4分の3が大卒であった。

パートナーの好みについては、これまでの出生動向調査の報告と同様に、性差が観察された。結婚相手に求める条件として、外見を除くすべての項目(学歴、職業、経済力、性格、お互いの趣味、仕事への協力・理解、家事・育児への姿勢・スキル)において、女性の方が男性よりも「重要である」と回答した割合が大きい傾向にあった。特に、「家事・育児に対する姿勢・能力」については、「重要である」(54%)、「考慮する」(42%)と回答した女性の割合が高く、男性の家事への貢献への期待が高まっていることが考えられた。

これは、「低リスク(安定した職業)」「低依存(自分のことは自分でできる、家事の手伝いを必要としない)」「低姿勢(男だからといって権威があると思わない)」という、夫の望ましい性質を表すのによく使われる言葉「三低(さんてい)」に通じるところがあるかもしれない。男女間の選好の差が最も大きかったのは、「経済」(「重要である」または「考慮する」と回答した女性対男性の割合:94%対41%)、「職業」(85%対44%)、「学歴」(54%対29%)であった。多くの文献によると、理想のパートナー像について質問した場合、女性は男性よりも収入や社会的地位を重視する傾向があり、男性は女性よりも外見を重視する傾向があるとされるが、今回の調査結果でも同様の傾向が見られた。

高収入・高学歴の未婚男性が婚活市場には少ないため、もし、日本の女性が自分と同等かそれ以上の収入の男性を好むようになれば(同類婚/上昇婚)、特に高収入の女性にとって、高収入の男性をめぐる競争は激しくなることが今回の調査結果の推計からも明らかである。

例えば、結婚意思を持つ未婚女性を見た場合、年収≧500万円(≧4万7,000ドル)の男性1人につき年収≦500万円の女性は9.5人となり、対象男性を大卒以上に限定すれば16.5人となる。また、年収700万円以上では、50.8、65.4となる。特に女性の高収入男性への選好は、女性の高学歴化高所得化が進んでも顕著という研究結果もあり、研究グループは「定職/高収入/大卒の男性が少ないことが結婚率低下の原因になっていることが考えられる」としている。

さらに、理想の結婚年齢と理想の結婚相手の年齢についての分析からは、日本の結婚市場における需要と供給のミスマッチの可能性が指摘された。「平均して、女性は結婚時に自分より1~3歳年上の男性を好んでいた。一方、男性は、26歳(結婚時)までは同年齢の女性を好み、それ以降は年下の女性を好む傾向があり、好みの年齢差は年齢とともに大きくなることがわかった。したがって、年下の相手を好む男性の方が、年上の相手を好む女性よりも多い」としている。

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