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リツキシマブ、難治性天疱瘡で追加承認-慶大ほか

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2021年12月28日 AM11:00

医師主導多施設共同治験に基づく薬事承認

慶應義塾大学は12月24日、(商品名:(R)点滴静注100mg/500mg)について、製造販売元である全薬工業株式会社による薬事申請で、(難治性の尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡)に対する効能・効果追加が承認されたことを発表した。同承認は、医師主導多施設共同治験「ステロイド治療抵抗性の天疱瘡患者を対象としたリツキシマブの医師主導によるオープンラベルシングルアーム多施設共同第2相臨床試験」の結果に基づいて行われ、同研究は、同大医学部皮膚科学教室の天谷雅行教授、山上淳専任講師(当時、現東京女子医科大学准教授)らを中心とした研究グループによるものだ。

現在、天疱瘡に対する治療法は、ステロイド内服を中心とした免疫抑制療法が中心的役割を担っている。天疱瘡診療ガイドラインでは、中等症以上の天疱瘡症例に対しては、プレドニゾロン(PSL)1mg/kg/日を標準的初期投与量として推奨。水疱・びらんの新生がなくなり、皮膚症状の大部分が治癒したらPSLを漸減していき、最小限のステロイド内服(PSL換算で0.2mg/kg/日または10mg/日以下)と必要最小限の免疫抑制薬の併用のみで皮疹が出現しない状態(寛解)を治療の目標としている。

ステロイド減量中に再燃または再発して寛解に至らず、ステロイド治療抵抗性と判断される症例では、血漿交換療法、免疫グロブリン大量療法(IVIG)などを併用しながらステロイドの減量を試みる。しかし、既存の治療法のみでは寛解に至らない症例が少数ながら存在し、難治例に対する新規治療法が望まれていた。

リツキシマブは、B細胞上に発現するタンパク質であるCD20抗原に特異的に結合する「抗CD20モノクローナル抗体」。標的となるB細胞と結合した後、ヒトの体内に備わった免疫機能を用いてB細胞を攻撃し、細胞を傷害する。

投与開始24週後の寛解率75.0%、臨床症状改善、血清中抗デスモグレイン自己抗体値低下

今回の医師主導治験は、天疱瘡の確定診断例で、PSLを10mg/日に減量するまでの間に臨床症状スコア(pemphigus disease area index:PDAI)の再上昇を認めた20歳以上80歳以下の患者を対象とした。同意取得時点でのPSL内服量を継続したまま、リツキシマブ1,000mgを2週間隔で2回、点滴静脈内投与を実施。決められたスケジュールに従ってPSLを減量し、リツキシマブ投与開始24週後の時点で寛解に到達した症例の割合を主要評価項目とした。2016年10月~2019年3月にかけて、各施設において順調に医師主導治験が進められ、最終的に20人がエントリーした(慶大11例、北大3例、岡山大2例、久留米大4例)。

試験の結果、有効性の主要評価項目である投与開始24週後の寛解率は75.0%。副次評価項目で臨床症状の改善と血清中抗デスモグレイン自己抗体値の低下が見られたことから、リツキシマブが難治性天疱瘡に対する新たな治療選択肢となることが示されたとしている。

天疱瘡への新規治療法として期待

研究グループは、「リツキシマブの難治性天疱瘡に対する効能・効果追加が薬事承認され、治療に新たな選択肢ができたことは大きな意味を持つとし、これまでの治療法のみでは寛解に到達できなかった、難治性の天疱瘡症例における新規治療法として期待される」と、述べている。

また、現状ステロイドを減量できずに苦しんでいる患者において、リツキシマブの使用によるステロイドの副作用のリスクを減らせる面からも有益性が期待できるとしている。

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