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新型コロナ感染1年後の「抗ウイルス抗体・中和抗体の持続性」を明らかに-横浜市大ほか

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2021年12月28日 AM10:30

「新型コロナウイルス感染症回復者専用抗体検査PROJECT」の最終報告

横浜市立大学は12月27日、(SARS-CoV-2)に感染し回復した人の、6か月後および1年後における血清の解析を行い、感染から1年後でも多くが検出可能な量の抗ウイルス抗体と中和抗体を有していることが判明し、また、軽症例の一部(約20〜30%)では、感染6か月後にはすでに変異株に対する中和活性が失われており、重症例では感染1年後でも全ての変異体に対する中和抗体を維持していることも明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科微生物学の梁明秀教授、宮川敬准教授、同大大学院データサイエンス研究科の後藤温教授、東ソー株式会社らの共同研究グループによるもの。研究成果は、「Open Forum Infectious Diseases」に掲載されている。


画像はリリースより

なお、同研究は横浜市立大学が主導した「新型コロナウイルス感染症回復者専用抗体検査PROJECT」の一貫として行われ、2021年5月に中間報告をした研究成果の最終報告となる。

重症例や中等症例の方が、軽症例よりも中和抗体価が高値であることが判明

研究グループは、2020年1~8月の間にCOVID-19と診断された日本国内の497例を対象に、感染6か月と1年後に採血を行い、ウイルスに対する抗体価と中和活性を調べた。20~70代が研究に参加し、発症時の重症度は、無症状・軽症が391例(79%)、中等症が80例(16%)、重症が26例(5%)だった。

東ソー株式会社のAIA-CL用 SARS-CoV-2-NP-IgG抗体試薬/SARS-CoV-2-SP-IgG抗体試薬、およびシュードウイルスによる中和活性測定系を用いて、血清中のSARS-CoV-2に対する抗体価(NP-IgG、SP-IgG)と中和抗体価を、それぞれ定量的に測定した。その結果、NP-IgG抗体価は、感染6か月後から1年後にかけて、2.9から1.1へと減少した。一方、SP-IgG抗体価は13.0から9.4へ、中和抗体価は297から222へと推移し、減少傾向にはあるものの、感染1年後も維持されることが明らかになった。

また、いずれの検査時期においても、重症例や中等症例の方が軽症例よりも中和抗体価が高値だったという。年代別では、50歳以上では重症例や中等症例が多く、これに伴い、中和抗体価が1年後でも高い傾向にあったとしている。

重症例では感染1年後でも変異株ウイルスを中和する活性が維持されていることを確認

次に、横浜市立大学が独自に開発した「hiVNT新型コロナ変異株パネル」を用いて、変異株に対する中和抗体の保有率を定性的に調べた。その結果、軽症例の約20〜30%では、感染6か月後には、すでに変異株に対する中和抗体の消失が起こっていることがわかった。一方、重症例では感染1年後でも、全ての変異体に対する中和抗体を保有していることが判明した。

また、同研究では変異株に対するSP-IgG抗体価を自動測定する系を東ソー株式会社と共同開発した。その結果、hiVNTの結果を裏付けるように、重症例では感染1年後でも変異株に対するSP-IgG抗体価が高く維持されていたという。さらに、国立感染症研究所で分離された変異株ウイルスを用いて、BSL3実験室で中和活性を評価したところ、重症例では感染1年後でも変異株ウイルスを中和する活性が実際に維持されていることを確認した。

細胞性免疫の持続性についても、今後検討していく予定

今回の研究では、COVID-19から回復した日本在住の方の6か月後および1年後における免疫状況について、経時的かつ包括的に調査した。また、今回は液性免疫の持続性の観点から評価が行われたが、細胞性免疫の持続性についても、今後検討していく予定だという。

「本研究において開発された全自動抗体検出技術を装置とともに社会実装し、今後、新たな変異株に対する抗体保有状況を集団レベルで速やかに調べ、検証を進める予定」と、研究グループは述べている。

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