放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がん対象の臨床第III相試験
エーザイ株式会社は2月3日、同社創製のファーストインクラス新規結合型選択的チロシンキナーゼ阻害剤「レンバチニブメシル酸塩」(開発コード:E7080、以下「レンバチニブ」)に関し、放射性ヨウ素治療抵抗性の分化型甲状腺がん(RR-DTC)を対象として実施した臨床第3相試験(303試験、SELECT試験)の結果を公表した。
SELECT試験は、過去12カ月以内に画像診断において病勢進行が確認されたRR-DTC患者を対象に、レンバチニブ24mgまたはプラセボを1日1回経口投与するという、多施設共同の無作為化、二重盲検プラセボ対照臨床第3相試験として行われた。主要評価項目は無増悪生存期間であり、副次評価項目は全奏効率、全生存期間および安全性となっている。
試験はSFJファーマシューティカルズとの提携のもと、エーザイが実施し、欧州、米州および日本を含むアジア地域の100以上の施設が参加、登録患者数は392人だった。
(画像はwikiメディアより引用 Author : Nephron)
主要評価項目を達成、承認申請へ
このSELECT試験の結果、レンバチニブ投与群はプラセボ群に比べ、統計学的に顕著な有意差での無増悪生存期間の改善が確認され、主要評価項目達成となったという。確認された主要な有害事象は高血圧、下痢、食欲減退、体重減少、嘔気となっている。
エーザイではこの良好な試験結果を受け、日本、米国、欧州の各当局で「レンバチニブ」の承認申請を行う予定としている。承認されれば、日本の製薬企業が開発した初の低分子分子標的剤となる見込みだ。
「レンバチニブ」は、血管新生や腫瘍増殖に関わるKDR(VEGFR-2)、Flt-1(VEGFR-1)、RET、FGFR1、PDGFR-βやc-kitなどの受容体チロシンキナーゼを阻害する、経口投与可能な薬剤。甲状腺がんでの開発に加え、肝細胞がんを対象としたグローバル臨床第3相試験、また非小細胞肺がんなど、それ以外のがん種を対象にした複数の臨床試験も進行中となっている。
エーザイでは、この「レンバチニブ」によるがん治療の可能性を引き続き追求し、多様なニーズの充足とベネフィット向上に貢献していきたいとしている。(紫音 裕)
▼外部リンク
エーザイ株式会社 ニュースリリース
http://www.eisai.co.jp/news/news201407pdf