医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > メラトニン、夜間の気管支喘息症状の増悪・治療抵抗性に関与-東北大

メラトニン、夜間の気管支喘息症状の増悪・治療抵抗性に関与-東北大

読了時間:約 1分42秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2021年11月30日 AM11:30

気管平滑筋に存在のメラトニン受容体MT2に作用、気管平滑筋収縮を増強

東北大学は11月26日、夜間に血中濃度が最大となる概日リズム形成ホルモンである「」が、気管平滑筋に存在するメラトニン受容体MT2に作用して気管平滑筋の収縮を増強させること、喘息治療の第一選択薬であるアドレナリンβ2刺激薬の気管支拡張作用を弱めることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院歯学研究科歯科口腔麻酔学分野の水田健太郎教授、佐々木晴香同大学院博士課程学生、米国コロンビア大学医学部麻酔科学講座のCharles W. Emala教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「American Journal of Physiology Lung Cellular and Molecular Physiology」電子版に掲載されている。


画像はリリースより

気管支喘息の患者は、しばしば夜間に症状の増悪を認める。しかし、その発症メカニズムは十分解明されておらず、既存の喘息治療薬も効きにくいと考えられている。概日リズム形成を担うホルモンであるメラトニンの血中濃度は午前4時頃に最大となるが、これは気管支喘息発作が頻発する時間帯と一致している。

メラトニン受容体はMT1とMT2の2種類のサブタイプに分類され、それぞれ全身のさまざまな部位に発現していることが報告されている。しかし、これまで、メラトニン受容体の気管平滑筋での発現は明らかにされていなかった。そこで今回の研究では、メラトニン受容体に注目し、メラトニンが気管支喘息症状の主症状の1つである気管支狭窄作用に関連しているかを調べた。

アドレナリンβ2受容体作動薬による気管平滑筋弛緩作用を減弱

研究の結果、気管平滑筋細胞にメラトニン受容体MT2が発現していることが明らかになった。メラトニン、あるいは不眠症の治療薬として臨床応用されているメラトニン受容体アゴニストのラメルテオンを気管平滑筋細胞に投与すると、メラトニン受容体MT2を介してcAMP産生作用が抑制されることが判明。また、アセチルコリンにより生じる細胞内Ca2+濃度の上昇作用を増強させることが明らかになった。

メラトニンを気管に投与すると、アセチルコリンにより生じる気管収縮作用が増強されることがわかった。また、気管支喘息治療の第一選択薬であるアドレナリンβ2受容体作動薬による気管平滑筋弛緩作用を減弱させることが明らかになった。

夜間・気管支喘息症状改善の新規治療法開発に期待

今回の研究により、メラトニンが気管支喘息症状の増悪や治療抵抗性に関与することが示唆された。研究成果が、夜間の気管支喘息症状を改善する新たな治療法の開発につながることが期待される、と研究グループは述べている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 加齢による認知機能低下、ミノサイクリンで予防の可能性-都医学研ほか
  • EBV感染、CAEBV対象ルキソリチニブの医師主導治験で22%完全奏効-科学大ほか
  • 若年層のHTLV-1性感染症例、短い潜伏期間で眼疾患発症-科学大ほか
  • ロボット手術による直腸がん手術、射精・性交機能に対し有益と判明-横浜市大
  • 前立腺がん、治療決定時SDMが患者の治療後「後悔」低減に関連-北大