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【慶應大医学部】中和抗体の測定装置開発-ワクチン接種効果に活用

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2021年08月25日 AM10:30

慶應義塾大学医学部の村田満教授らの研究グループは18日、新型コロナウイルスに対する中和抗体を自動測定装置で測定できる試薬の開発に成功したと発表した。迅速に抗体の有無が判定でき、ワクチン接種効果に関する研究の促進などに活用できるとしている。

新型コロナウイルスに感染する仕組みとして、ウイルス表面のスパイク蛋白質がヒトの細胞膜上のACE2蛋白質と結合することで細胞に侵入開始するとされている。

感染者の体内の抗体を測定するには、ウイルスの一部を作製してそこに患者の血液(血清)を反応させることで、血清中のウイルスに結合可能な抗体の有無を判定する。中和抗体は感染防御に直接的に関わり、中和抗体量が多いと感染防御能が高いとされている。

研究チームが開発した測定試薬は、スパイク蛋白質のうち、特に重要な受容体結合部位を作製して磁性粒子に結合させ、それに対して患者の血清と酵素標識したACE2を順に反応させる。その後、発光基質を添加して酵素の発光基質の分解で生じる発光の量を自動測定する。中和抗体が存在する場合は発光量が少なくなるため、血清中の中和抗体が結合をどの程度阻害するか数値化することができる。

慶應大などは昨年末に産学連携で中和抗体測定キットを開発していたが、手動で測定するため、多数の検体を処理する上で課題があった。

一方、今回の試薬はLSIメディエンスが製造した自動臨床検査装置「」に搭載できる。1時間当たり最大270回のテストが可能で、サンプリングから結果が得られるまで19分以内と迅速に測定できる。同検査方法はウイルスを含まないため、バイオセーフティレベル(BSL)1の実験室でも使用でき、安全性が非常に高いとしている。

高速で多数の検体を測定できるため、個々の患者の中和抗体の評価、ワクチン接種後の抗体価の推移、最適な接種間隔を調査する研究といった幅広い用途での使用が期待されるとした。

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