患者の骨の形を考慮しながら計画を立て、高精度にスクリューを設置可能
聖マリアンナ医科大学は7月13日、2021年4月に脊椎手術支援ロボット「Mazor X(R)Stealth Edition」(Medtronic社)を、国内初導入したと発表した。
画像はリリースより
ロボット手術という言葉を耳にするが、脊椎手術にもロボット手術が導入された。脊椎固定術や脊椎側弯症手術に用いられるロボット技術は、「個々の患者の骨の形を考慮しながら計画を立て、高い精度でスクリューを設置する技術」と言える。
脊椎固定術とは、脊椎がもともと不安定である場合や、必要な手術操作のために不安定になる可能性のある場合に、上の骨と下の骨をスクリューとロッドを使って固定し安定させる手術で、腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症(分離症)、腰椎椎間板ヘルニア、脊椎圧迫骨折などの疾患に対して行われる。
脊椎側弯症手術とは、側弯に含まれる脊椎をまとめて固定することで、一塊の骨にする。これにより、側弯の悪化を防ぐことができる。手術では骨が癒合するまでの間、ロッドで脊椎を矯正位で保持する。主にスクリューをロッド連結し、脊椎を固定する。実際に、どれくらいの範囲で脊椎を固定するかは各患者の側弯の程度によって異なる。子どもの側弯に対して行われることが多いが、最近では大人の脊柱変形や骨折後の後弯症に対しても行われる。
手のブレがなくなることで、スクリューを不適切な位置に設置してしまう可能性や神経の障害が出る可能性が減少
ロボットを使用した脊椎手術では、手術前にCT画像を撮影する。これにより、手術の前に詳細なスクリューの設置計画を立てることができる。
この方法では、手術前に撮影したCT画像と手術中に撮影したレントゲン画像を組み合わせることで正しい位置の把握が可能となり、ロボットアームがスクリューを入れる道筋を示す。ロボットアームは手術台に設置し、ロボットアームを通してスクリューを脊椎に設置する。スクリューの挿入自体は、医師の手によって行われ、ロボットが自動でスクリュー挿入を行うわけではない。手のブレがなくなることにより、スクリューを不適切な位置に設置してしまう可能性や、神経の障害が出る可能性が少なくなることが期待される。
また、手術中に使用するレントゲン画像の撮影回数も少なくなるため、放射線被ばくの減少が期待される。一方、症状に関する治療効果については個人差があるとしている。
通常の保険診療内で行うことができ、手術費用も大きな変化はなし
費用については、通常の保険診療内での費用負担となる。画像等手術支援加算として2万円が上乗せされるが、従来の手術費用と比較して、大きな変化はないという(詳細は受診の際に要確認)。現在、同院では火・木曜日に脊椎外来を行っており、受診の際は紹介状が必要となる。
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・聖マリアンナ医科大学 Marianna Today