英国型B.1.1.7系統株の市中感染事例、2021年2月以降に関西圏で急増
東京医科歯科大学は4月22日、2021年3月中旬から4月上旬までの期間に、同大医学部附属病院に入院または通院歴がある複数のCOVID-19患者から、E484K変異を有する系統株(R.1)およびN501Y変異を有する英国系統株(B.1.1.7)の市中感染事例を確認したことを明らかにした。この報告は、同大大学院医歯学総合研究科ウイルス制御学分野の武内寛明准教授・医学部附属病院病院長補佐、難治疾患研究所ゲノム解析室の谷本幸介助教、リサーチコアセンターの田中ゆきえ助教らと、木村彰方理事・副学長・特任教授および医学部附属病院感染制御部の貫井陽子部長との共同解析によるものだ。
画像はリリースより
2020年11月以降、日本では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急速な症例数の増加局面に直面しており、2020年12月下旬からは、感染性が増大していることが示唆されている英国型系統株(B.1.1.7系統株)、南アフリカ型系統株(B.1.351系統株)およびブラジル型系統株(P.1系統株)の日本国内流入により市中流行株の変遷に影響をおよぼす可能性が懸念されている。2021年2月以降、B.1.1.7系統株の市中感染事例が関西圏において急増し、市中流行株の遷移が顕著に認められていることから、国内においてより強固な感染拡大防止対策を講じる必要性に迫られている。
同大患者検体からE484K変異の系統株を11例、英国型系統株の市中感染例も複数確認
2020年11月下旬以降、同大医学部附属病院に入院または通院歴のあるCOVID19患者から、さまざまな変異を有するSARS-CoV-2系統株の感染事例を確認したことを同大はこれまでに報告している。また2021年1月以降は、免疫逃避型変異(E484K変異)を有する系統株(R.1)の感染事例だけでなく、新たな変異を有する多様な国内系統株の感染事例を確認したことも報告した。
そして今回、2021年3月中旬から4月上旬までに入院もしくは通院歴のある患者由来検体11例から、E484K変異を有する系統株(R.1)の継続的な市中感染事例を確認。加えて、感染性の増大が懸念されるN501Y変異を有する英国型系統株(B.1.1.7)の市中感染事例を複数確認した。
関東圏でもB.1.1.7系統株への遷移が起こり始めている
2021年3月中旬以降の同大の検体からE484K変異を有する系統株(R.1)のさらなる感染事例を確認しただけでなく、4月上旬には感染性の増大が懸念されるN501Y変異を有する英国型系統株(B.1.1.7)への感染事例が複数確認された。
「このことは、関西圏だけでなく関東圏においてもB.1.1.7系統株への遷移が起こり始めていることを示しており、国内流行株の遷移がさらに進む可能性が考えられる。引き続き強固な感染予防対策を継続すると同時に、市中流行株の推移をモニタリングし、ウイルス流行の実態を把握することが公衆衛生上の意思決定に重要」と、研究グループは述べている。
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