厚生労働省医政局の林俊宏経済課長は26日、後発品メーカーによる製造上の不正事案が相次いだことを踏まえ、「業界再編を指導する必要がある」との考えを示した。同日開かれた医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議で、後発品の安定供給に関する構成員からの指摘に応じたもので、異例の言及となった。
この日の会議では、後発品をめぐる小林化工や日医工による不正事案の発覚を踏まえ、構成員から安定供給に向けた注文が相次いだ。
安部好弘構成員(日本薬剤師会副会長)は、行政側に「不正を見抜けなかったのは、査察のあり方に問題があったと言わざるを得ない」と厳しく指摘。同一成分を複数のメーカーで共同開発する枠組みにも言及し、「1成分に対して数十社が異なる銘柄で販売すれば、医療機関や薬局の情報収集、管理が複雑化する懸念がある。安定確保の観点から、承認申請のあり方については検討が必要」と主張した。
宮川政昭構成員(日本医師会常任理事)も共同開発について、「責任が不明確になりがちな仕組みを薬事制度として容認し続けることはどうかと思う」と疑問視した上で、後発品のルールとして「5年をメドにGMP等に関する再審査を行い、問題のある後発品は市場から撤退させる仕組みを検討してはどうか」と提案した。
政府の医薬品産業ビジョンについても「メーカーが多いと指摘しているが、業界再編や健全な育成ができていない。決心した踏み込みが必要」と述べ、今夏をメドに策定予定の新医薬品産業ビジョンに実効性のある施策内容を記載するよう迫った。
これに対し、林氏は「品質の安定的確保を遵守できないメーカーはあってはならず、業界再編をしっかりと指導する必要がある」との考えを示した。
一方、この日の会議では、安定確保が特に必要な医療用医薬品である「安定確保医薬品」の確定版として、厚労省が506成分と優先度別のカテゴリー分けを示し、了承された。