犬を飼うことが、お子さんのアレルギーに悪影響を与えることを心配する家庭は多いものです。
(この画像はイメージです)
一方で、赤ちゃんの時に、犬を飼っていた家庭の子どもは、アレルギーや喘息にかかるリスクが低くなる、という一見矛盾した報告が、これまでにもたびたび発表されてきました。最近になり、このメカニズムが解明されはじめたのです。
米カリフォルニア大学サンフランシスコ校らからなる研究グループが、犬がいる環境のほこりを与えたマウスを、何種類かのアレルゲンに曝して、犬のいない環境のほこりを与えたマウスと比較したところ、アレルギーの起こる率が明らかに低下していることがわかったのです。
秘密は、お腹の中に棲みつく細菌達、マイクロバイオームです。犬がいる環境のほこりを与えられたマウスでは、犬のいない環境のほこりを与えられたマウスに比べて、ラクトバチルス・ジョンソニ(Lactobacillus johnsonii)が多いことが分かりました。この菌が、呼吸器のアレルギーとウィルス感染の双方から身体を守っているのです。
試しに、犬のいない環境のほこりを与えたマウスに、ラクトバチルス・ジョンソニ菌を与えると、同じように呼吸器を守る働きが見られましたが、その度合いは、犬がいるところのほこりを与えたマウスよりも弱いものでした。このことから、成長する環境の中で、ラクトバチルス・ジョンソニ菌がマイクロバイオームに加わることが大切であることが分かったのです。
研究チームでは、この実験と同様のことがヒトでも起こっており、これまでの「犬を飼うことで、むしろアレルギーから身を守ることができる」という説を、裏付けているのだと解釈しています。
もちろん、赤ちゃんのいる家庭で犬を飼うことは、清潔面をはじめ、気をつけることがたくさんあります。一方で、犬はすでに家族の一員、という家庭も多いもの。これからも、ワンちゃんと共に健康な家庭を築いていきたいですね。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
House dust exposure mediates gut microbiome Lactobacillus enrichment and airway immune defense against allergens and virus infection
http://www.pnas.org/content/early/2013/12/