ラクトフェリン1日200mg/600mg摂取で、急性胃腸症状の有症率が有意に低下
信州大学は2月3日、ラクトフェリン配合錠菓の摂取が保育園、幼稚園職員の冬の急性胃腸症状に与える影響を調査し、ラクトフェリンを1日200mgまたは600mg摂取することで、急性胃腸症状の有症率が有意に低下することを確認したと発表した。この研究は、同大医学部衛生学公衆衛生学教室の野見山哲生教授らと、松本市、森永乳業の研究グループによるもの。研究成果は、「International Journal of Environmental Research and Public Health誌」に掲載されている。
画像はリリースより
ラクトフェリンは、ヒトなどの哺乳類の乳汁や唾液に含まれるタンパク質。加熱殺菌前の牛乳に微量含まれ、抗菌、抗ウイルス、免疫調節作用を示すことが知られている。これまでの基礎研究から、ラクトフェリンは冬の感染性胃腸炎の主要な病原体であるノロウイルスに対して抗ウイルス作用を示すことが報告されている。
保育園や幼稚園は、免疫機能が未発達な子どもが集団生活をしている。そのため、感染症が蔓延しやすい環境にあり、子どもと接する職員もまた高いリスクにさらされている。
今回研究グループは、松本地域の保育園、幼稚園の職員を対象として、ラクトフェリンの摂取が冬の急性胃腸症状を抑制するか検討する臨床試験を実施した。
ラクトフェリン、幅広い年代の感染防御に活用の可能性
ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験で、松本地域56の保育園、幼稚園職員346人を無作為に3群に分け、プラセボ、ラクトフェリン200mg/日、同600mg/日のいずれかを冬の間の12週間摂取してもらい、摂取期間中の急性胃腸症状の有症率を調査。その結果、急性胃腸症状の有症率は、200mg群、600mg群でプラセボ群と比較して有意に低下した。
今回の研究成果に加えて、松本市の保育園児(1~2歳)がラクトフェリン配合ミルク(48mg/日)を摂取することで、冬の急性胃腸症状の有症率が低下し、急性呼吸器症状の日数が減少すること、松本市の保育園児(3~6歳児)がラクトフェリン配合ヨーグルト(100mg/日)を摂取することで、冬の嘔吐による病欠率が低下することも確認されており、ラクトフェリンの急性胃腸症状に対する抑制効果は再現性を持って確認されているという。
成人での抑制効果は今回世界で初めて確認された。ラクトフェリンが幅広い年代の感染防御に活用できる可能性を示すことができたと考えている、と研究グループは述べている。
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