厚生労働省は5日、東京都など5都府県の約1万5000人を対象に行った、新型コロナウイルスの感染経験の有無を判定できる抗体検査結果を公表した。陽性率は、東京都0.91%、大阪府0.58%、宮城県0.14%といずれも前回調査より上昇しており、特に東京都の抗体保有率は約9倍増加した。
新型コロナウイルスの抗体検査では、対象者の血液を検査キットに垂らし、ウイルスを体内から除去する抗体を保有しているかどうかについて陽性、陰性で判定し、感染経験の有無が分かる。
今回の調査は、昨年12月に東京都3399人、大阪府2746人、宮城県2860人に、愛知県2960人、福岡県3078人を新たに対象に加え、一般住民を無作為抽出した上で検査を行った。昨年6月の前回調査と同様、米国食品医薬品局(FDA)が緊急使用を認めたロシュとアボットの2製品を使用し、両製品で陽性と判定したものを「陽性」と定義した。
その結果、東京都で31人(0.91%)、大阪府で16人(0.58%)、宮城県で4人(0.14%)、愛知県で16人(0.54%)、福岡県で6人(0.19%)が陽性と判定された。
前回調査では、東京都2人(0.1%)、大阪府5人(0.17%)、宮城県1人(0.03%)で、東京都の抗体保有割合は約9倍増加した。
今回の調査結果を踏まえ、田村憲久厚労相は同日の閣議後会見で「自治体ごとにかなりばらつきが出ているが、1%足らずなので、多くの人が罹患して集団免疫につながる話ではない。引き続き各地域で感染対策の努力が必要」と述べた。