安全性の懸念から自主的に開発中止を決定と発表
武田薬品工業株式会社は2013年12月27日、同社が創製し、2型糖尿病治療薬として開発を進めていたfasiglifam(一般名、開発コード:TAK-875)について、肝臓における安全性に懸念があるとして、自主的に開発中止を決めたことを発表した。
問題視された評価項目や数値などの詳細は開示されていない。武田薬品工業によると、臨床第3相試験の期間を通じ、安全性を独立の立場で監視する機関として、独立データモニタリング委員会、独立肝安全性評価委員会、独立エグゼクティブ委員会の3つの専門委員会と連携をとってきたという。
開発中止は、これらの委員会との連携のもと、すべての臨床試験から得られたデータを注意深く検討した結果。fasiglifamの投与でもたらされる患者のベネフィットが潜在するリスクを上回ることはないとの結論に達したとしている。
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治験担当医らに連絡開始、治験参加者にも主治医への相談を呼びかける
fasiglifamは膵島細胞に発現するG蛋白質共役受容体の1つであるGPR40の作動薬。グルコース濃度に応じてインスリン分泌を促進し、高血糖を改善する作用をもつ。
2013年5月に臨床第3相試験データの報告がなされるなど、fasiglifamはGPR40作動薬の中でもっとも開発が先行し、注目を集めていた。同社はこの薬剤に関し、2014年度中の承認申請、2015年度中の上市を見込み、次期主力品のひとつに位置づけていた。
武田薬品工業では、この開発中止決定について、治験担当医および規制当局とコミュニケーションをとり、各国・地域の規定に則った最新の情報提供を進めている。治験に参加した患者が適切な治療法に移行し、十分なケアが受けられるよう、治験担当医師や各国・地域の規制当局と連携していくとしている。そのうえで治験参加者に対しては、薬剤を変更する前に、まず主治医に相談するよう呼びかけを行っている。(紫音 裕)
▼外部リンク
武田薬品工業 ニュースリリース
http://www.takeda.co.jp/news/2013/