アメリカ小児科学会では、2000年に妊婦さんや授乳中のお母さんが、ピーナツを取ることは避けた方が良いという見解を発表しました。これは、過去数十年で増加してきたピーナツアレルギーを避けるための方策で、アレルゲンに早いうちからさらされることで、過敏に反応するようになるプロセスを防ぐという視点に基づいていました。
(画像はWikiメディアより引用)
ところが、妊娠してピーナツを食べることを避ける女性が増えても、ピーナツアレルギーは増える一方。1997年から2010年の間にその割合は約3倍にまで増えました。
アメリカ小児科学会は、2008年には見解を撤回。妊娠中や授乳期のピーナツの摂取と、子どもたちのピーナツアレルギーには実際にどのような関連性が見られるか、改めて追跡することになったのです。
ボストン小児病院でアレルギーや免疫学を専門とするMichael Young医師が、8,205人の子どもたちのデータと、お母さんが妊娠中・授乳中に摂っていた食事との関連に着目しながら分析しました。このうち、ピーナツや好みに関するアレルギーを持っていたのは140人でした。
この分析では、これまでの常識に反して、妊娠中にピーナツをはじめナッツ類を多く食べていた女性から生まれた子どもの方が、ピーナツアレルギーにかかる確率が低いことが分かったのです。
Young医師は、子どもたちのアレルギーに関しては、慎重に取り組む必要があるため、この調査結果だけで、ピーナツを食べた方がいい、とは結論づけていません。けれども今後、今回の調査データを更に掘り下げて、妊娠中や授乳中のピーナツの摂取と、子どものアレルギー発症の関連性を、検証していくべきだとしています。
「妊婦さんはピーナツを食べてもよい」と言われても、やっぱり気になっていた人も多いでしょう。この感覚も、覆される日が来るかもしれませんね。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Prospective Study of Peripregnancy Consumption of Peanuts or Tree Nuts by Mothers and the Risk of Peanut or Tree Nut Allergy in Their Offspring
http://archpedi.jamanetwork.com/article.aspx