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理研 関節リウマチに対するゲノム創薬手法を開発と発表

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2014年01月12日 AM06:00

関節リウマチの発症に関わる101個の感受性遺伝子領域を同定

独立行政法人 理化学研究所は2013年12月26日、全世界10万人以上を対象としたゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施し、関節リウマチの発症に関わる101個の感受性遺伝子領域を同定したと発表した。また、新規のゲノム創薬手法を見出し、関節リウマチに対する新たな治療薬候補を発見したという。

この研究は、理研統合生命医科学研究センター 自己免疫疾患研究チームの山本一彦チームリーダーと、統計解析研究チームの岡田随象客員研究員、および東京大学、京都大学、東京女子医科大学、ハーバード大学などを中心とした国際共同研究グループによって行われたもの。その成果は、英科学雑誌「Nature」のオンライン版に、現地時間12月25日付で掲載された。

共同研究グループは、まず世界中の関節リウマチのGWASデータを統合し、ビッグデータ解析を実施。アジア人および欧米人を含む10万人以上のサンプルと、約1,000万の一塩基多型(SNP)で構成されたビッグデータを対象とした解析の結果、新たに発見した42領域を含む、計101領域の感受性遺伝子領域を同定することに成功した。これらの遺伝子領域に含まれる一塩基多型のうち、発症しやすい遺伝子変異をもつ人は、もたない人に比べて、1.1~1.5倍程度、関節リウマチにかかりやすいという。

(画像はプレスリリースより)

データベース解析で、関節リウマチの新たな疾患病態を明らかにすることに成功

次に、関節リウマチの感受性遺伝子領域内の遺伝子と、さまざまな生物学的データベースとの網羅的な照合・解析を行い、関節リウマチの感受性遺伝子の一部が、原発性免疫不全症候群や、白血病の感受性遺伝子と共通していることを突き止めた。

また、制御性T細胞のDNAにおいて遺伝子発現機構を制御している領域と、関節リウマチの感受性遺伝子領域には重複が認められたという。そのほか、インターロイキン-10、インターフェロン、顆粒球単球コロニー刺激因子など、多様なサイトカインシグナルが関節リウマチの発症に関与していることも、この研究により判明したとしている。

ゲノム創薬の新たな可能性を拓く発見に

さらに共同研究グループは、創薬データベースに登録されたさまざまな疾患の治療薬におけるターゲット遺伝子の情報を整理し、GWASで同定した感受性遺伝子領域内の遺伝子とのつながりを調べることで、候補となる治療薬を探すという、新たなゲノム創薬手法を考案した。

その結果、関節リウマチの各感受性遺伝子が、タンパク質間相互作用ネットワークを介して、関節リウマチの治療薬における治療ターゲット遺伝子とネットワークを形成していることが判明したという。

こうして得られた知見から、既存の他の病気に対する治療薬の中に、関節リウマチの感受性遺伝子をターゲットとしているものがあることも分かり、それらを関節リウマチの治療に適応拡大できる可能性があることが見出された。研究チームでは、実際に有力な治療薬の具体的候補として、乳がんなどの治療に用いられているCDK4/6阻害薬を挙げている。

今回の研究によって新たに明らかとなった、関節リウマチの感受性遺伝子領域内の遺伝子や疾患病態を考慮することにより、さらに効果的で副作用の少ない、新しい治療薬の開発が進展することが見込まれる。また、新規手法として見出されたゲノム創性手法を他の疾患にも適用することで、それらの新薬開発が加速することも期待されている。(紫音 裕)

▼外部リンク

独立行政法人 理化学研究所 プレスリリース
http://www.riken.jp/pr/press/2013/

Genetics of rheumatoid arthritis contributes to biology and drug discovery
http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/

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