カルタヘナ法の規定には細かい対応方法の記載がない
国立成育医療研究センター(NCCHD)は12月9日、医療機関におけるアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの具体的な取扱いに関する考え方や対応を示したマニュアルを国立精神・神経医療研究センター(NCNP)と共同で作成したと発表した。これは、NCCHD遺伝子細胞治療推進センターの小野寺雅史氏、中國正祥氏、NCNPトランスレーショナル・メディカルセンターの小牧宏文氏、石塚量見氏、NCNP病院の本橋裕子氏、安藤菜甫子氏らのグループによるもの。同マニュアルは、関連リンクに記載のプレスリリースよりダウンロード可能だ。
画像はリリースより
遺伝子治療で用いられるウイルスベクターは、カルタヘナ法の遺伝子組換え生物等に該当し、医療機関では、環境中に拡散しないような対応、体制整備などが求められている。しかし、カルタヘナ法の規程では細かい対応方法までは定められていない。
AAVベクター取扱いの具体的対応方法が示された国内初の医療機関向けマニュアル
AAVベクターは、病原性が低く、体内に直接遺伝子を投与するin vivo法に多く利用される。神経・筋疾患をはじめ、網膜疾患や血友病などのさまざまな疾患に対する遺伝子治療で臨床開発が進んでいる。
今回作成されたマニュアルには、医療機関において遺伝子治療を安全かつ適切に実施できるよう、具体的な対応方法や考え方が示されており、こういったマニュアル作成は国内初の試みとなった。医療機関ごとにリソースや環境が異なるため、各施設で全ての内容が適用できるとは限らないが、遺伝子治療を取り入れたいと考える医療機関にとって、その準備や実施に役立つことが期待される。
▼関連リンク
・国立成育医療研究センター プレスリリース