小児の「適応外使用」は60~70%、小児医薬品の開発環境整備へ
国立成育医療研究センターは11月10日、小児治験ネットワーク、小児治験ネットワークの運営・管理を委託された国立成育医療研究センター病院、ファイザーR&D合同会社が小児医薬品の開発(治験)をより円滑に実施するため、治験環境改善に関する覚書を2020年10月1日に締結したと発表した。
この覚書は、1.治験実施における企業と治験実施施設の役割分担の明確化と適正化、2.セントラルIRB(中央治験審査委員会)の活用、3.ICT技術を導入した治験業務の効率化、4.治験の情報公開の推進、5.治験費用の適正化と透明化、について検討することを盛り込んでいる。これらの治験環境を改善する活動が進むことで、子どもたちがより有効で安全な薬を服用できる社会へとつながっていくことが期待される。
現在、小児で使用されている医療用医薬品のうち、添付文書に小児の用法・用量が明確に記載されていない、いわゆる「適応外使用」は60~70%を占めるといわれている。子どもたちの服用に適し、より有効で安全な医薬品を早く提供していくためには、小児医薬品を開発しやすい環境を整備していくことが求められており、今回の覚書の締結は大きな意味をもつという。
小児治験ネットワークには全国53施設が加盟
小児治験ネットワークは、小児・周産期領域における医薬品等の開発(治験)を推進し、より有効で安全な医薬品等を患者(児)に早期に提供していくことを目的として平成22年に設置された。令和2年9月末日時点で全国の小児医療施設等53施設が加盟し、小児・周産期領域の治験ネットワークとして国内最大の規模となっている。
日本での小児医薬品開発は、欧米に比べると法制化も含めて整備が遅れているが、さまざまな施策を通して取り組みが活発化してきているという。医療現場と製薬企業、そして行政が連携することが期待される。
▼関連リンク
・国立成育医療研究センター プレスリリース