■規制改革計画で対応案
厚生労働省は28日の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」で、政府の規制改革実施計画で同会議の運営のあり方が問題視されたことを受け、スイッチOTC化の可否を行わないことなどを柱とする対応案を示した。対応案には、製薬企業が同会議に要望を提出せず厚労相に直接、承認申請できることも明記し、年末をメドに作成予定の中間取りまとめに盛り込みたい考え。
スイッチOTC化に向けては、同会議でスイッチ化する上での課題や論点を整理し、薬事・食品衛生審議会に意見として示すとされている。
しかし、評価検討会議と薬事・食品衛生審議会の役割が曖昧となっており、7月に閣議決定された規制改革実施計画では、同会議がスイッチ化の可否を決めるものではないことを明確化するよう明記していた。
厚労省がこの日の会議で示した対応案では、スイッチ化の可否は決めず、要望があった成分については課題や論点を整理した上で意見をまとめる機能に明確化するとした。消費者などの多様な主体からの意見が反映されるよう、構成員については、消費者の代表、産業界、流通・販売関係者などを追加することも盛り込んだ。
医薬品医療機器等法に基づき、製薬企業が評価検討会議に要望を出すことなく、厚労相に承認申請を可能とする案も盛り込む。ただ、厚労相に直接承認申請する場合は、同会議でも議論することを原則とし、承認済みの要指導・一般用薬と類似のもので、改めてスイッチ化の議論を行う必要がないものは議論の対象外とした。直接承認申請された場合の情報公開のあり方、同会議の関与方法については検討を行う。
さらに、患者のニーズを正確に把握するため、希望に応じて要望者から要望内容を説明させる機会を設けるほか、2回目の検討の際に要望者が意見提出することも可能とした。
今回の対応案について、笠貫宏座長(早稲田大学特命教授)は「可否を決めないとすると、会議の意義は何か考えないといけない」と述べた。
長島公之構成員(日本医師会常任理事)は、既承認薬との「類似」の定義について「薬事承認される際は、副作用や使用上の注意等を考慮している。これらを反映させないと安全性が担保できないので、議論が必要」との考えを示した。
一方、厚労省は、スイッチ化の要望と議論を効果的、効率的に行うため、会議の論点や課題を記載した中間取りまとめの具体案も示した。スイッチ化する上で満たすべき要件として、使用者の状態に応じた医師による服薬管理を必要としないこと、使用者自身の判断で適正に使用できることなどを明示した。