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パラダイムシフトの起きたリウマチ治療、治療目標の設定・共有が課題-アッヴィ

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2020年10月13日 AM11:15

」は、併用でなく単剤でも有効

アッヴィ合同会社は10月2日、関節リウマチに関するオンラインメディアセミナーを開催。産業医科大学 医学部 第一内科学講座教授の田中良哉氏、愛知県医療療育総合センター総長の石黒直樹氏、日本リウマチ友の会会長の長谷川三枝子氏などが登壇し、関節リウマチ治療の現状について、医師や患者の観点から講演、および鼎談を行った。

まず、田中氏が「パラダイムシフト!関節リウマチ診療のアンメットニーズへの挑戦」と題して講演。田中氏は、関節リウマチは30~40歳代の女性に多く、高齢者がリウマチと思っている症状はほとんどの場合、「変形性関節症」という全く別の疾患であると言及。また、関節リウマチは、関節に限らず、倦怠感、ドライアイ、神経障害、皮膚障害などが起こる全身性疾患との認識を持つべきだと指摘した。

欧州リウマチ学会によりレコメンドされている現在の治療アルゴリズム(EULAR2019)では、抗リウマチ薬のメトトレキサート(MTX)で治療を開始し、それでも改善しない場合は、生物学的製剤やJAK阻害薬を追加とされている。関節リウマチに対するJAK阻害薬は、2013年にJAK3阻害薬「トファチニブ」の発売以降、「」「ペフィチニブ」と続き、2020年4月には1日1回内服のJAK1阻害薬「」が発売された。

MTX治療抵抗性の患者に対し、MTXまたはウパダシチニブ15mgを単剤投与で比較したSELECT-MONOTHERAPY試験では、14週目の低疾患活動性達成率がMTXで19.4%であったのに対し、ウパダシチニブは44.7%と、ウパダシチニブで有意に高い達成率だった。また、臨床的寛解達成率もMTXの8.3%に対し、ウパダシチニブは28.1%と、有意に高かった。田中氏は、「これまでJAK阻害薬はMTXに追加することで治療効果を高める薬剤という考え方が主流だったが、JAK阻害薬の単剤治療でもこれだけの効果が得られたという初めての知見となった」と述べた。

ウパダシチニブ15mgの有効性と安全性をプラセボ、アダリムマブと比較したSELECT-COMPARE試験では、12週目の低疾患活動性達成率がプラセボ6.1%、ウパダシチニブ28.7%、アダリムマブ18.0%と、アダリムマブと比較してもウパダシチニブが有意に高い達成率を示した。田中氏はこれについて、非常にインパクトのある結果だとし、関節破壊の進行抑制も期待できるとの私見を述べた。一方で、JAK阻害薬はアダリムマブと比較して全般的に帯状疱疹の出現率が高いので、あらかじめそのことを患者に認識してもらい、早期に治療を開始できる体制を整えておくことが重要だとした。最後に田中氏は、「リウマチ治療は大きく進歩し、早期に専門病院で適切な治療を受ければ、関節破壊そのものを抑制することができる。この事実を広く社会に啓蒙していく必要がある」と述べ、講演を締めくくった。

治療目標を設定・共有し、「T2T」をしっかりと行っていくことが重要

次に、リウマチ専門医と患者を対象とした「関節リウマチ治療に関する意識調査」の結果に対し、石黒氏と長谷川氏がそれぞれの立場から見解を述べた。

患者に向けた「現在の治療に満足していますか?」という質問では、とても満足している17%、まあまあ満足している69%、あまり満足していない11%、全然満足していない3%という結果だった。さらに、治療満足度に与える要因として患者と医師のコミュニケーションに着目すると、「治療に満足している患者は、医師とのコミュニケーションが十分にとれている」ことがわかったという。この結果に対し長谷川氏は、「治療に対する満足感は体調にもつながってくる」とコメント。石黒氏は「治療結果とは別に、医師との信頼関係構築が、患者の治療満足度を上げていることがわかる。関節リウマチ治療においては、治療目標の設定がとても重要だ。副作用を抑えるためにも正しい治療情報のシェアは欠かせないものであり、そのためにも患者との密なコミュニケーションは欠かせない」と述べた。

一方、「治療目標を設定・共有できていない」と回答した医師と患者はおよそ3割だった。さらに、治療満足度が高い患者は、医師と治療目標を設定・共有できていることも明らかになった。これについて石黒氏は「治療目標を設定・共有しなければ、患者は常に不安を抱えて治療を受けることになり、治療満足度は下がる。患者の理解と参加があれば治療満足度は当然上がる。疾患活動性を双方で認識しながら、T2T(Treat to Target:目標達成に向けた治療)をしっかりと行っていくべきだ」と語った。

「関節リウマチ治療についての知識を深めたいですか?」「患者にもっと関節リウマチの知識を深めて欲しいと思っていますか?」との質問に対しては、ほとんどの患者・医師が「知識を深めたい(深めて欲しい)」と回答した。これに対し長谷川氏は、「多くの患者が、もっと自分の病気のことを知りたいと答えている。患者側も医師に任せっきりにするのではなく、きちんと医師の説明を理解し、納得した治療を選択する。そんな時代に向けて変わっていけたら」と、希望を述べた。石黒氏は「患者と医師の両方が治療を正しく学び、知ることで治療効果を最大限にし、よりよい治療につながると考えている」と、力強く語った。

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