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「抗菌薬意識調査レポート2020」の結果を発表-AMR臨床リファレンスセンター

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2020年10月09日 AM11:45

、薬剤耐性について、700人を対象に調査

国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンターは10月8日、全国の10代~60歳以上の男女700人を対象とした「抗菌薬意識調査レポート2020」の結果を発表した。


画像はリリースより

感染症治療の切り札といわれる抗菌薬が効かない薬剤耐性()の問題が世界中で深刻化している。日本でも「」によって2017年に国内で8,000人以上が死亡したとの推計が出ており、深刻な影響が懸念されている。薬剤耐性の問題は抗菌薬・抗生物質の不適切な使用が一因とされている。また、日本では外来での抗菌薬・抗生物質使用が9割以上を占めている。

今回の調査は、抗菌薬・抗生物質、および薬剤耐性とは何かについて、現在一般の人がどのように認識しているかを把握し、問題点と今後の取り組みの方向性を提示することを目的として実施。調査は、2020年8月にインターネットで行われ、男性(10代44人、20代75人、30代59人、40代55人、50代55人、60歳以上62人)、女性(10代45人、20代59人、30代66人、40代56人、50代61人、60歳以上63人)計700人から回答を得た。

処方された抗菌薬・抗生物質を飲み切らない人は34.6%

かぜと抗菌薬について、回答者のうち21.7%が2020年1月~8月の間にかぜをひいていた。かぜをひいた人の多くが市販薬を内服。しばらく様子をみてから受診した人は、以前処方された抗菌薬を内服した割合が高いことから、抗菌薬に対する期待が高い可能性がある。また、医療機関で処方された薬、処方を希望する薬のいずれにおいても上位に抗菌薬が入っており、市民と医師双方の認識を変えていく必要があることがわかった。

また、処方された抗菌薬を「治ったら途中で飲むのをやめる」「途中で忘れてしまい飲み切っていない」の回答が合わせて34.6%、処方されてもできるだけ飲まないとの回答が20.3%に上った。このことから、多くの人が抗菌薬をきちんと服用していないものと考えられた。飲み残した抗菌薬をとってある、体調の悪いときに飲んだことがあるとの回答もそれぞれ31.6%、21.0%あり、抗菌薬の正しい使用法を積極的に広めていく必要がある。

「抗菌薬・抗生物質はかぜに効果があるか」の正答率は年代により異なる

抗菌薬に関する知識について、「抗菌薬・抗生物質はウイルスをやっつける」「抗菌薬・抗生物質はかぜに効果がある」に「あてはまらない」と正しく回答した割合はそれぞれ18.1%、25.3%だった。今回の調査では、「わからない」との回答が3~5割と過去の調査より多かったため、それを除いて集計したところ、それぞれの説明に正しく回答した割合はそれぞれ26.7%、42.4%となった。過去の調査結果と比較すると、かぜに効果がないことを知っている人は少しずつ増えている可能性がある。

「抗菌薬・抗生物質はかぜに効果がある」への正答率(「わからない」を除く)を年代別にみると、30~50歳代では50%程度が正解していた。しかし、10-20歳代では26~43%と低く、60歳代以上も30%にとどまっていた。10~20代の若い世代や、60歳以上の世代も視野にいれて啓発活動を進める必要があることがわかった。

感染症対策を「今後も続けていく」人は65.6%

新型コロナウイルス感染症対策に関しても質問したところ、行っている感染対策(手洗い、咳エチケットなど)を今後も続けるとの回答は65.6%だった。手洗いなどの感染対策は、薬剤耐性菌による感染対策にも通じる。昨今の感染対策に対する意識の高まりは、今後、全ての感染症に共通する対策として期待できるという。

日本人の抗菌薬・抗生物質や薬剤耐性への知識がいまだ不十分であることが見えてきた一方、新型コロナウイルス感染症の流行により、感染予防に関する意識が高まっていることもわかった。抗菌薬・抗生物質についての正しい知見を広める環境が整ってきていることが見えてきたと、研究グループは述べている。

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