子どもの頃、運動をしていなかった母親から生まれた子どもは太りやすい…と聞くと気になりませんか?ご安心ください、これはジョンズ・ホプキンス・メディスンが行ったラットの実験結果です。とはいえ、哺乳類としてヒトと共通項も多いラット。同じ現象がヒトでも起こりうるのではないかと専門家が指摘しています。
(画像はWikiメディアより引用/by Jacquelinekato)
研究対象となったメスのラットは、運動をしたグループと、運動をしなかったグループの二つに分けられました。いずれのグループでも、妊娠中から授乳期間中まで高脂肪の太りやすい食事を与えられていました。こうして生まれ育った子どものラットについて調べてみると、同じ体重でも運動をした母親から生まれた子どもでは、体脂肪率が低く、食欲を抑えるホルモン、レプチンに敏感に反応することが分かりました。
運動と食欲、そしてレプチンの分泌や反応について調べると興味深いことが明らかになりました。レプチンは、太っているラットの方が血中に多く見られるにもかかわらず、食欲が抑えられている様子が見られませんでした。
一方で、運動していたラットから生まれた子どもでは、レプチンに対する反応が良く、実際の食事量を観察しても、運動をしていない母親から生まれたラットよりも抑えられていました。これらのことから、研究チームでは、肥満の度合いが上がってくるとある時点からレプチンに対する反応が鈍くなってしまうのであろうと解釈しました。
母親ラットに運動をさせていた時期はわずか3週間で、人間でいえば幼年期から思春期の終わりにあたります。もしも同じような現象がヒトでも見られると仮定するならば、活発な少女時代を過ごした女性から生まれた子どもは、太りにくい体質ということになりそうです。
肥満は、生活習慣病とも言われており、本人の生活習慣が影響することはすでに多くの人が理解していることでしょう。また、妊娠中や授乳中の食生活が、子どもの体型や体重に影響を及ぼすことも認識されてきました。とはいえ、母親の子どもの頃の運動習慣が関係するのであれば、私たちがこれまでイメージしてきたよりもずっと早い時期から影響が出始めることになります。
このような報告を受けると、気になるのがテクノロジーの進化とともに、家の中で静かに過ごすことが増えた昨今の子どもたち。いつか母となる日に備えて、子どもたちには早いうちから身体を動かす楽しみを教えてあげたいですね。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Childhood Exercise May Stave Off Some Bad Effects of Maternal Obesity, Animal Study Suggests
http://www.hopkinsmedicine.org/news/media/releases/
Early postweaning exercise improves central leptin sensitivity in offspring of rat dams fed high-fat diet during pregnancy and lactation
http://ajpregu.physiology.org/