2020年6月~7月実施の「コロナ×こどもアンケート」第2回調査の全体報告を発表
国立成育医療研究センターは8月18日、2020年6月~7月に実施した「コロナ×こどもアンケート」第2回調査の全体報告をまとめたとして発表した。この研究は、同センターの社会医学研究部・こころの診療部を中心とした研究グループ「コロナ×こども本部」によるもの。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、子どもの生活も大きく変化した。今回の調査は、「子どもたちは今どのような状況に置かれているのか」「大人たちは子どもたちのために何ができるのか」を明らかにし、現場に届けるとともに、社会に問いかけることを目的としている。
前回の第1回調査では、主に緊急事態宣言中の子どもたちの生活や健康の様子が明らかになった。今回の調査では、学校や保育園再開後の子どもたちの様子や、新型コロナウイルスに関する意識(スティグマ)などに着目して調査を行った。
画像はリリースより
全国の7~17歳の子ども、17歳以下の子どもがいる保護者6,772人を対象に
調査の対象は、全国の7~17歳の子ども、17歳以下の子どもがいる保護者6,772人(子ども981人、保護者5,791人)。回答は匿名で、説明・同意(代諾を含む)・回答はすべてオンライン上で実施した。調査への参加呼び掛けは、LINEやSNS(Facebook、Twitter)を活用するなどした。なお、調査の特性上、回答率は計算できない。
第2回の調査実施期間である2020年6月~7月は、休校・休園していた多くの学校や幼稚園・保育園が再開されて間もない時期であり、主に都市部では再度感染者数が徐々に増えはじめた時期でもある。この間の子どもたちの健康状態やQOL(生活の質)、急性ストレス症状、家族との関わりやトラブル、保護者の心の状態、ヘルスリテラシー、スティグマ、いじめ、子どもたちが大人に言いたいことなどを、基本属性とあわせて質問。回答は、子どものみ、保護者のみ、その両方、から選べる形式とした。
子どもの7割が何らかのストレス反応を呈する、前回調査から大きな改善は見られず
調査の結果、「もし自分や家族がコロナになったら、そのことは秘密にしたい」という項目について、32%の子どもがあてはまると回答。「コロナになった人とは、コロナが治っても、あまり一緒には遊びたくない人が多いだろう(付き合うのをためらう人が多いだろう)」という項目については、40%の子どもがあてはまると回答した。これは、感染が終息していない中での学校や社会生活の再開に伴い、子どもたちの誰もがスティグマの問題を避けて通れないことを意味していると考えられる、としている。
続いて、何らかのストレス反応を呈している子どもが72%(第1回調査では75%)、心に何らかの負担を感じている保護者が63%(第1回調査では62%)となり、第1回調査から大きな改善は見られなかった。
子どもの自殺が例年8月下旬~9月上旬に多く、今年は特に注意を
今回の第2回調査は、比較的感染が落ち着いていた時期に実施されたが、子どもたちは新しい生活の中で大きな影響を受けていたことがわかった。また、コロナに関するスティグマが子どもたちの間にも少なからず存在することが明らかなった。この状況が長期化した場合、子どもたちの心への影響も心配だ、と研究グループは述べている。また、例年8月下旬~9月上旬に子どもの自殺が多く、夏休み明けを迎える子どもの心への負担が指摘されており、今年は特に注意を払う必要がある、とコメントしている。
第3回調査「コロナ×こどもアンケートその3」は、2020年9月1日より開始する予定。研究グループは、今後も各調査結果や社会情勢などを踏まえて、繰り返し調査を実施していく予定であり、また、重大な調査結果は速やかに公開し、現場での子どもたちへのケアや施策提言に活かされるように努めるとしている。
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・国立成育医療研究センター プレスリリース