バイオ戦略は、30年に日本を世界最先端のバイオエコノミー社会にするために実施すべき政策をまとめたもので、19年に策定された。毎年更新することとしており、20年版では19年版の内容をより具体化する一方、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、新型コロナウイルスに対応する研究開発の推進を追記した。20年度補正予算に含まれるものなど、既に取り組んでいる政策も戦略に記載されている。
20年版の戦略は、▽直ちに取り組むべき感染症拡大の収束に向けた研究開発等への対応▽収束後の迅速な経済回復を見据え、バイオ戦略2019に沿って遅滞なく取り組むべき基盤的施策――で構成。
直ちに取り組むべき感染症拡大の収束に向けた研究開発等への対応では、新型コロナウイルスに対する治療薬候補の選定や治療薬開発、ワクチン開発の支援、検査用試薬の同等性検証の実施などを記載した。
新型コロナウイルス患者の検体をゲノム解析や免疫学的解析し、臨床・疫学情報と統合して利活用できる基盤を構築するほか、創薬研究への支援強化と海外の感染症研究拠点における基盤的研究なども推進する。
感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)やワクチンと予防接種のための世界同盟(GAVI)といったワクチン開発を支援する国際的枠組みに対する資金拠出、ワクチン供給を迅速化するため、ワクチン開発と並行して生産体制を整備することも明記した。
一方、遅滞なく取り組むべき基盤的施策では、バイオ医薬、再生医療、細胞治療、遺伝子治療関連産業など、国内外から大きな投資を呼び込む可能性がある市場を明記。
その上で、これら分野を促進するためには、臨床現場と連携しつつ、研究開発から事業化まで切れ目なく取り組む体制整備が必要とし、産官学が連携して国内外から集積する国際的な開発・製造実証拠点の整備、研究開発のためのデータ利活用基盤の整備などに取り組むとした。