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老健施設で看取りをした遺族の満足度は、施設内の多職種連携と関連-筑波大

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2020年06月17日 AM11:30

老健施設での看取りにおいて、遺族の満足度は施設の体制と関連するか

筑波大学は6月12日、(以下、老健施設)における遺族の満足度と、関連施設の体制要因を調査した結果、遺族の看取り満足度は、施設内の多職種の職員が効果的に協働していることとの関連が示されたと発表した。これは、同大医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野の田宮菜奈子教授、小竹理奈・医学類6年生(現研修医)、羽成恭子・大学院医学系専攻博士課程らの研究グループによるもの。研究成果は、「日本公衆衛生雑誌」に掲載されている。

老健施設での看取りの実施割合は増加傾向にある。老健施設には、入所者の在宅復帰を目指した支援をしつつ、社会ニーズに応える形で看取りも行うという特性があり、今後、効果的に質の高い看取りを提供していく施設体制を整えることは重要と考えられる。世界的には、看取りの質の評価は遺族調査が主であり、研究グループが調査した範囲では、日本の老健施設における看取りの質に関する調査研究で、遺族を対象とした研究は認められなかった。そこで、老健施設における遺族の満足度と関連する施設の体制要因を明らかにすることを目的に研究を行った。

全国老人保健施設協会が2014年に実施し2つのアンケートのデータを二次利用。「介護老人保健施設の管理医師の有効活用による医療と介護の連携の促進に関する調査研究事業」と「地域における介護老人保健施設の役割に関する調査研究事業」である。調査対象は各老健施設で「計画的な看取り」(ここでは、介護老人保健施設内で、あらかじめ看取りを行うことを想定し、実際に看取りまで支援を実施したケース)を経験した直近3例の遺族、その遺族が看取りを経験した老健施設の管理医師と施設管理者だった。

管理医師からは施設の体制に関する情報を、施設管理者からは各施設の入所定員数と施設類型の情報を得た。遺族における看取りの「」、運営・教育等への取り組み状況を、単変量解析および多変量ロジスティック回帰分析により調査した。遺族に対して具体的には、「直後は悔いのない看取りだったと思えたか」という5段階の質問に対し、最良の「大いに思えた」およびそれ以外と、関連する各施設での各種説明体制(入所から死亡までにおける説明の状況など)を尋ねた。


画像はリリースより

「多職種協働で家族への説明を行うこと」などが看取り満足度と関連

分析対象は遺族363人、管理医師169人、施設管理者167人。遺族のうち250人(68.9%)が満足度で「大いに思えた」を選択していた。多変量ロジスティック回帰分析の結果、遺族の看取り満足度と有意に正の関連を示したのは、次の4つであった。
・利用者への定期的な診察があること(オッズ比2.94、95%信頼区間1.52-5.70)
・入所時に利用者に対し疾病状態の説明が医師・多職種協働でなされていること(同2.07,1.01-4.25)
・病態悪化時に利用者および家族に対し状況説明が医師・多職種協働でなされていること(同 3.12, 1.17-8.33)
・施設職員のストレスマネジメントに取り組んでいること(同3.63, 1.84-7.16)

本研究により、遺族の高い看取りの満足度に関連する施設の体制要因として、利用者および家族への説明に際して医師以外の職種の関わりが多いことや、管理医師が施設職員へのストレスマネジメントに配慮していることが示唆された。施設の運営に際し、利用者や家族への説明においては多職種で関わること、施設職員のストレスマネジメントに取り組んでいくことにより、老健施設での看取りの質が向上する可能性がある。

「今回の研究では、利用者や家族への説明において具体的にどのように多職種が関わっていたのか、また、ストレスマネジメントへの取り組み内容といった詳細は明らかではない。今後、より具体的な内容を調査していく必要があると考える」と、研究グループは述べている。

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