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「朝食を食べないこと」は2型糖尿病患者の動脈硬化に悪影響-順大

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2020年03月10日 AM11:15

心血管イベント既往のない2型糖尿病患者を対象に、生活習慣とbaPWVの関連性を調査

順天堂大学は3月5日、朝食の欠食が2型糖尿病における血管硬化に悪影響を与えることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科代謝内分泌内科学の三田智也准教授、綿田裕孝教授らの研究グループによるもの。研究成果は、英国の医学専門誌「BMJ open Diabetes Research&Care」に掲載されている。


画像はリリースより

糖尿病は、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管イベントの発症を増加させる。従って、糖尿病の治療において、血管の硬化を予防し、硬化がさらに進まないように維持することは重要な課題である。これまでの報告では、2型糖尿病患者において、高齢であること、血糖のコントロールが悪いこと、糖尿病の罹病期間が長いこと、血圧が高いことなどが血管の硬化を進める危険因子であることが報告されている。しかし、2型糖尿病患者における生活習慣と血管の硬化の関連性は十分に明らかになっていない。

今回、研究グループは、生活習慣が血管の硬化に与える影響を明らかにすることを目的に、心血管イベントの既往のない2型糖尿病患者を対象にさまざまな生活習慣と血管硬化の指標であるbrachial-ankle pulse wave velocity(baPWV)の関連性を調査した。研究対象は、順天堂医院等の外来に通院中で、心血管イベントの既往のない2型糖尿病患者736人。質問紙などを使用して生活習慣を調査した。研究開始時、2年後、5年後にそれぞれbaPWVを測定することで、生活習慣と動脈硬化との関連性を解析した。生活習慣に関しては、朝型あるいは夜型などの生活パターン、睡眠時間、睡眠の質、うつ状態、食事のカロリー、、飲酒量、喫煙の有無、朝食の欠食や夕食の時間などを調査項目とした。

動脈硬化の危険因子などとは独立して、朝食の欠食そのものが動脈の硬化に悪影響

調査の結果、朝食の欠食回数が多い人は、毎日朝食をとる人に比べ、baPWVが5年に渡って高く出続けることが明らかになった。年齢、性別、血糖コントロールや血圧などオーソドックスな動脈硬化の因子を調整しても、朝食の欠食回数は、baPWVの持続高値に関連していたという。

また、1週間の朝食の回数別でグループ分けを行い、各群の特徴を比較した結果、朝食の回数が4回未満のグループの患者では、夜型の生活パターン、睡眠の質が不良、うつ傾向、アルコールの摂取量が多い、夕食時間が遅い、中食や外食の頻度が多いなど、他の悪い生活習慣が集積していた。そのような患者では、5年に渡り、BMIが高値、HDL(善玉コレステロール)が低値、尿酸値が高値、baPWVが高値であることが明らかになった。

このことから、朝食の欠食が多い患者では、他の悪い生活習慣や動脈硬化の危険因子(BMI高値、HDL低値や尿酸高値)が集積することが血管の硬化に影響する可能性があるため、さらに詳細な解析を進めたところ、これらの因子とは独立して、朝食の欠食が多い患者では血管の硬化が続くことが明らかになった。以上より、朝食の欠食そのものが動脈の硬化に悪影響を与えることが明らかになったとしている。

血管の硬化が進行し、心血管イベントを起こすと、患者の寿命が短くなる、あるいは生活の質が大きく損なわれることがあり、経済的な負担も増加する。心血管イベント発症の予防策として、朝食をしっかりとることが重要だ。日本の健常人を対象としたコホート調査では、朝食の欠食が脳卒中の増加に関連することが報告されているが、同研究では、心血管イベントのリスクが高い2型糖尿病患者において、朝食の欠食が血管の硬化をさらに促進させる可能性があることを示した。

研究グループは今後、血管イベントを引き起こす生活習慣を明らかにしたいと考えており、さらに、その生活習慣を改善させることが動脈硬化や心血管イベントの抑制につながるかを検証する予定だとしている。

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