抗SARS-CoV-2ポリクローナル高免疫グロブリンとなり得る「TAK-888」
武田薬品工業株式会社は3月4日、米国議会において、新型コロナウイルスに感染したハイリスク患者に対する治療薬として抗SARS-CoV-2ポリクローナル高免疫グロブリン(H−IG)の開発を開始すること、および、同社の上市済みの製品およびパイプラインの中で感染者に対する有効な治療薬となり得るものを調査していることについて情報提供することを発表した。
COVID-19は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)によって引き起こされる疾患。肺炎を引き起こす可能性があり、最近の発見以来、世界中で3,000名以上が死亡している。現時点で、COVID-19の予防もしくは治療に用いるワクチンや薬剤は承認されていない。
高免疫グロブリンは、これまでに重症急性ウイルス性呼吸器感染症の治療薬として有効であることが示されている血漿分画製剤であり、COVID-19の治療選択肢となる可能性がある。同社は、抗SARS-CoV-2ポリクローナルH-IGとなり得る「TAK-888」の研究、開発、製造に関する専門性を有している。
回復した患者などから採取した血漿の病原体特異的な抗体を濃縮し、作用する高免疫グロブリン
同社は現在、TAK-888に関する研究を迅速に進めるために、米国、アジア、欧州における複数の国の規制当局や医療関連パートナーと協議中だ。TAK-888の開発を進めるには、COVID-19から回復した人、またはワクチンが開発された場合にワクチン接種を受けた人から得た原料血漿にアクセスできなければならない。COVID-19から回復したドナーは、COVID-19患者の病状の重症度を軽減し得る、また感染を予防し得る抗ウイルス抗体を産生している。
高免疫グロブリンは、回復した患者や将来的にはワクチン接種を受けたドナーから採取した血漿の病原体特異的な抗体を濃縮することで作用する。抗体を患者に投与すると、その患者の免疫系の活性を高め、回復の可能性を高めることが期待できるという。TAK-888に必要な血漿は通常の血漿ドナーから得ることが難しいため、同社はまず、米国ジョージア州の製造拠点の隔離されたエリアにて製造を開始する。TAK-888の開発と製造に伴う、同社の既存の血漿分画製剤の製造に対する影響はないとしている。
また、同社は、上市済みの同社製品および薬物候補ライブラリの中からいくつかを選定し、それらがCOVID-19の患者に対する有効な治療薬の候補となる可能性について探索している。
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・武田薬品工業株式会社 プレスリリース