厚生労働省は2月28日、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、ウイルスの有無を判断するPCR検査を今週半ばをメドに保険適用する方針を示した。保健所を通さずに各医療機関で検査可能となることで、急増する国民のニーズに応える狙い。価格は、施設内で検査可能な医療機関は1万3500円、検査機関に検体輸送の必要がある医療機関は1万8000円とした。加藤勝信厚労相は、「患者の診断や治療を目的に保険診療ができる体制を立ち上げる。国民の不安な声に応えるため、検査機関と医療機関の力を借りながら検査体制の充実を図りたい」との考えを示した。
PCR検査では、患者の鼻や喉の粘膜から検体を採取し、検体内の遺伝子を増幅させてウイルスの遺伝子情報があるかどうかを確認する。厚労省によると、国立感染症研究所や検疫所などの公的機関、民間の検査会社などによる新型コロナウイルスに関する行政検査の実施件数は1日3800件以上としている。
ただ、国内の感染拡大により、検査体制が不十分との指摘が国民から相次いでいる現状を踏まえ、今週半ばにも保険適用することで、保健所を通さずに幅広い医療機関で検査できるようにする。保険適用した後も、行政検査は引き続き行われるという。
検査の価格は、施設内で検査可能な医療機関は1350点、検査機関に検体輸送の必要がある医療機関で受診した場合は1800点に設定する。保険適用後の患者負担のあり方について、厚労省は「検討中」としている。
PCR検査の対象者については、「医療上の必要性に基づいて医師が判断した人」とし、実施医療機関は肺炎の入院患者を受け入れている医療機関、帰国者・接触者外来を設置している医療機関とした。
気道吸引液や鼻腔吸引液などを検体とし、検査方法は、感染研が作成したマニュアルやそれに準じた方法で実施する。
保険適用には中央社会保険医療協議会の了承が必要となるが、緊急性の高さから持ち回りの審議とした。同日時点での進捗状況について、厚労省は「複数の委員から了承を得ている」と報告した。