院長が60歳以上の診療所は約47%、うち約70%が後継者不在
エムスリー株式会社は1月15日、日本医師会とともに、日本全国で深刻化する医療機関(医院・クリニック等)における後継者不足の問題を解決するため、第三者医業承継のトライアル事業に関する包括連携協定を締結したことを発表した。
画像はリリースより
近年、開業医の後継者問題の解決策のひとつとして、第三者への事業承継の必要性が高まっている。特に、診療所の後継者不在率は全業種トップ水準の約86%と深刻な状況にあるが、譲受先(引き継ぎ先)の探索が困難であるため、第三者承継を実現するケースは僅少となっている。
エムスリーのアンケート調査によると、国内約10万件の診療所のうち、院長が60歳以上の診療所は約47%で、そのうち約70%で後継者不在であることが明らかとなっている。この結果から、約10万件ある診療所のうち、約3万3,000件で、院長の年齢が60歳以上かつ後継者不在であると推察される。
事業承継の選択肢を早期から提供し、契約締結までをスムーズにすることで廃業を阻止
長期に渡り地域医療に尽力してきた開業医と、これから地域に寄り添った医療を志す医師をつなぐ仕組みが急務となる中で、両者は今回の取り組みをスタートし、その第1弾として、秋田県下に設定したトライアル地域において事業を開始した。取り組み内容については、以下の通り。
(1) 都道府県医師会および郡市区医師会等との連携体制の構築
(2) 医業承継プラットフォームの周知・活用
(3) 日本医師会員に対する医業承継に関する情報提供
(4) 日本医師会員に対する医業承継サービスの提供(マッチング)
(5) 承継時における後継者への医師会加入促進
医業承継プラットフォームでは、「m3.com」の分析データ、第三者承継の専任コンサルタントなどを活用し、譲渡希望医師が望む条件に合致した後継者を適切に早期に見つけることが可能だという。また、最適な相手とのマッチングからM&A・事業承継に掛かる契約締結まで、一気通貫で対応が可能なコンサルティングサービスを提供。医療機関のM&A・事業承継に関する専任コンサルタントを設置し、財務・法務・リスク対応を含む支援体制を整備し、交渉支援やバリュエーション・契約書作成など、M&A・事業承継に付随する全ての業務をサポートすることで、秘匿性の高い情報の取り扱いなどにおいても安全性の高い医療機関のM&A・事業承継を実現できるとしている。
両者は、「本協定を通じて、診療所等を運営する開業医に事業承継の選択肢を早期から提供することで、後継者不足による廃業を阻止し、かかりつけ医機能の維持、地域医療の堅持に寄与する」と、述べている。
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・エムスリー株式会社 プレスリリース