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自閉スペクトラム症の診断補助装置、承認に向け医師主導治験を開始-弘前大ほか

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2019年12月25日 PM12:15

医師の臨床経験や観察眼により診断結果が左右される

弘前大学は12月24日、JVCケンウッド社製の視線計測装置について、(ASD)の診断補助として医療機器の承認を目指し、医師主導の治験を開始したと発表した。これは浜松医科大学、、福井大学およびJVCケンウッド社による共同試験である。


画像はリリースより

発達障害の一つであるASDの有病率は2~3%といわれている。発症時期は通常3歳以前であり、その症状や行動、特徴に起因する日常生活・社会生活の機能障害が長期に渡るため、成人期においても生活に困難が生じやすいにも関わらず、薬物治療・生物学的治療は未開発だ。しかし、発達支援をはじめとして、個々の行動特性に即した対応によって予後に改善が認められることが報告されている。したがって、ASD患者の予後を考える上で、診断は極めて重要であるが、ASDの診断に納得できず医療機関を転々とする養育者は多く、その子どもたちへの介入時期は遅れがちだ。

ASDを診断するのは一般的に小児科医や小児精神科医などであり、子どものコミュニケーションの取り方などの行動学的所見を詳細に観察・評価して診断する。通常、観察された行動学的所見の評価は、米国精神医学会精神障害の診断と統計マニュアル第5版(DSM-5)にまとめられた診断基準に基づき行われるが、診断基準に当てはまるかどうかの評価は、医師の臨床経験や観察眼に沿った判断に委ねられている。したがって、医師がASDの診断を一度の面接で確信をもって行うことは容易でない上、その時々の子どもの機嫌や診察の環境に左右されることもある。現在のところ、医師の診断面接に代わる方法はなく、結果的に医師も養育者もASDという診断について、納得を得ることが難しい状況である。

5~17歳のASD疑い/TDの患者を対象に試験、2021年度中の承認目指す

研究グループは2015年度から2018年度まで、AMED から「未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業 “ICTを活用した診療支援技術研究開発プロジェクト”」の支援を受け、「注視点検出技術を活用した発達障害診断システムの開発」を行ってきた。その成果を基に試験はデザインされた。試験の対象は、治験医療機関を受診する5~17歳のASDが疑われる者ならびに、5~17歳の定型発達(TD)患者。視線計測装置および視線計測装置用診断プログラム(GF01)による診断を行い、ASD診断面接の診断結果と比較し、有効性(診断能)ならびに安全性の検討が行われる。視線計測装置は、モニター画面に提示した映像に対する被験者の視線を計測し、計測結果を表示する装置である。

研究グループは、本装置の医療機器化について、2021年度中の承認を目指している。「本装置の医療機器化により、医師の診断に客観的で安定した評価が加わり、医師、養育者ともに ASDの診断に納得を得られやすくなることが期待される」と、述べている。

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