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ディープ・ラーニングによる乳房エコーの腫瘤識別、診断支援システム開発-東北大ほか

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2019年12月24日 PM01:00

SAS Institute Japan社の「SAS(R) Viya(R)」を利用

東北大学は12月20日、SAS Institute Japan株式会社の「SAS(R) Viya(R)」を利用し、人工知能の核となるディープ・ラーニングを用いて乳房エコー画像内の腫瘤を識別する診断支援システムを開発したと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科医学統計学分野の山口拓洋教授らの研究グループによるもの。研究成果は、国際科学誌「Physics in Medicine & Biology」で発表された。


画像はリリースより

乳がんの診断にはマンモグラフィーを用いることが一般的だが、乳房組織が密な女性の場合は精度が不十分で、その際には乳房エコー検査()による診断が用いられる。しかし、エコー画像の読影は技師や医師の主観や経験に依存しやすく、また、良性腫瘤を悪性と診断する偽陽性率の高さから侵襲的生体検査が追加されることが多いため、患者の精神的・肉体的負担が増加することが課題だ。

画像を高い精度で識別できるディープ・ラーニング手法CNN(Convolutional Neural Network)は、学習により画像の特徴を自動的に獲得することによって、人間が気付くことができない腫瘤を発見することが期待される。同研究では、2つのCNNモデルの結果を組み合わせることで精度の高い識別を実現する「アンサンブル学習」を開発。また、画像1枚ごとに腫瘤の識別をするのではなく、1人の患者から撮影された複数の画像をまとめて、患者ごとに判別を行うという方法を採用した。

感度90.9%、特異度87.0%、AUC0.951の精度で識別

研究の結果、同システムは、感度(悪性腫瘤を正しく悪性と識別する割合)が90.9%、特異度(良性腫瘤を正しく良性と識別する割合)が87.0%、機械学習の評価指標AUCが0.951という精度で識別することを確認。さらに、各画像の中で、CNNモデルがどの部分に特に注目して識別結果を出力したかを分析した結果、腫瘤そのもの以外の部分にも識別のためのヒントが隠されている可能性が示され、画像診断における新たな視点が必要となると示唆された。

今回報告したシステムは、ディープ・ラーニングの過程を明確に示すことができないという課題があるものの、今後、実際の医療に活用することができれば、医師や患者の負担軽減や、医療費の削減にもつながることが期待される。研究グループは今後も、SAS社の協力の下、さらなる研究を進めていく予定だとしている。

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