セロトニン再取り込み阻害作用・セロトニン受容体調節作用を有するトリンテリックス
武田薬品工業株式会社とルンドベック・ジャパン株式会社は11月27日、うつ病・うつ状態を適応とする治療剤として「トリンテリックス®錠10㎎、20㎎」(一般名:ボルチオキセチン臭化水素酸塩)を発売したことを発表した。
トリンテリックスは、セロトニン再取り込み阻害作用ならびにセロトニン受容体調節作用(セロトニン3受容体、セロトニン7受容体およびセロトニン1D受容体のアンタゴニスト作用、セロトニン1B受容体部分アゴニスト作用、セロトニン1A受容体アゴニスト作用)を有しており、セロトニンだけでなく、ノルエピネフリン、ドパミン、アセチルコリン、ヒスタミンの遊離を調節すると言われている。国内臨床第3相試験(NCT02389816)などの結果より、トリンテリックスがプラセボとの比較で、うつ病の症状を統計学的に有意に改善したことから、今回の発売に至った。
大うつ病性障害は、世界で約1億6,000万人が罹患していると言われる精神疾患で、日本では人口の約2.5%である約300万人が罹患している。大うつ病性障害は、臨床的うつ病としても知られており、全世界で主な精神障害のひとつとして疾病負担の要因ともなっている。大うつ病性障害は、精神症状に加え、身体症状および認知障害を併発することがある。その症状には、抑うつ気分、興味または喜びの著しい減退、有意の体重減少または体重増加、食欲の変化、不眠や過眠、精神運動焦燥または制止、疲労感または気力の減退、無価値感や過度の罪責感、思考力や集中力の減退、決断困難、および反復的な自殺念慮が含まれる。
大うつ病性障害成人患者の治療剤として84か国で承認
トリンテリックスは、大うつ病性障害成人患者の治療剤として2013年9月30日に米国食品医薬品局(FDA)から承認された。現在、日本、欧州、カナダ、チリ、中国、メキシコ、アルゼンチン、韓国、トルコ、オーストラリア、香港、シンガポール、および南アフリカ共和国を含む計84か国で承認されている。
ルンドベック社は、2007年に日本におけるトリンテリックスの共同開発および将来的な共同商業化に関する契約を武田薬品と締結。製造販売承認取得後、武田薬品とルンドベック・ジャパンはトリンテリックスのコ・プロモーションを行っている。
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・武田薬品工業株式会社 プレスリリース