前立腺がんに新たな治療薬
バイエル ヘルスケア社は11月15日、同社の取り扱う新規抗がん剤「Xofigo(R)」(有効成分名:塩化ラジウム-223)注射液に関して、症候性の骨転移を有し、既知の内臓転移のない成人の去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)の適応で、欧州委員会から承認を取得したと発表した。
承認は、今年9月の欧州医薬品委員会(CHMP)による判断の肯定的勧告を受けたもので、ピボタル第3相臨床試験であるALSYMPCA(ALpharadin in SYMptomatic Prostate Cancer)試験で得られたデータに基づいている。
(画像はwikiメディアより引用 参考イメージ)
全生存期間を有意に延長
Xofigoに対するALSYMPCA試験では、全生存期間を有意に延長することが確認されたという。Xofigoはアルファ線を放出する医薬品であり、その活性成分であるラジウム-223は、骨塩(ヒドロキシアパタイト)複合体を形成することにより、とくに骨転移巣を選択的に標的とすることができる。高LET放射線であるアルファ線が、隣接する細胞に高頻度でDNA二本鎖切断を引き起こさせ、強力な細胞傷害効果を発揮する。
骨芽細胞および破骨細胞などの腫瘍微小環境に対し、さらなる効果があることも確認されており、生体内における有効性が認められるという。Xofigoのアルファ粒子の放射範囲は、100μm未満(10細胞直径未満)となっているため、周辺の正常組織に対するダメージも最小限に抑えることができる。
Xofigoはすでに同適応で米国における承認を取得しており、販売が実施されている。2009年9月にバイエルはXofigoについて、ノルウェーのアルジェタ社と契約を締結しており、バイエルがその開発と世界各国における販売承認申請及び販売を行うものとしている。米国ではアルジェタ社とバイエルのコ・プロモーションが行われている。
骨転移はCRPC患者の多くで発生するものであり、これによって骨強度が低下し、しばしば骨痛、骨折、その他合併症を引き起こす。CRPC患者における身体障害や死亡の主たる原因の一つともなっており、骨転移巣を標的とする新たな抗がん剤であるXofigoは、この治療における大きな前進をもたらすものとなると期待されている。(紫音 裕)
▼外部リンク
Bayer HealthCare プレスリリース
http://byl.bayer.co.jp/