エクソン53非適応の患者に対する治療薬の開発
国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は11月6日、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(以下、DMD)治療薬「NS-089」「NCNP-02」を用いた医師主導の治験を、同日から開始したと発表した。
画像はリリースより
DMDは、ジストロフィン遺伝子の変異が原因で、筋の細胞膜からジストロフィン・タンパク質が失われ、徐々に筋力低下が進む難病で、男児に発症する。現在、進行を遅らせる目的でステロイド剤による治療が行なわれている。開発中の治療法として「エクソン・スキップ治療」があり、正常なジストロフィンに比べるとタンパク質の一部が短縮するものの、機能を保ったジストロフィンが発現して筋機能の改善が期待できるとされている。日本では「エクソン53」のスキップ薬である「NS-065」「NCNP-01」(一般名:ビルトラルセン)が承認審査中。しかし、この治療でスキップの対象となるエクソンは患者の変異形式に応じて異なるため、エクソン53スキップ薬が適応にならない患者に対する、別のエクソンを標的とした薬剤の開発が喫緊の課題となっている。
非臨床試験で患者細胞における有効性はすでに確認
今回の治験は、日本新薬株式会社と共同研究を進めてきたアンチセンス核酸医薬品「NS-089」「NCNP-02」を、ヒトに対して初めて投与する医師主導治験。NCNP病院において6例のDMD患者に対して行われる。主要評価項目である安全性の他、NS-089/NCNP-02投与後の薬物動態、ジストロフィン・タンパク質の発現確認等の有効性についても検討される。
NS-089/NCNP-02は、世界初のエクソン44スキップ薬。モルフォリノ核酸が本来有する高い安全性に加えて、特許出願技術である新規高活性配列探索法を用いて開発した配列連結型のモルフォリノ核酸製剤であり、高いエクソン・スキップ活性を有している。これまでに得られた非臨床試験の結果から、エクソン44スキップに応答する変異形式のDMD患者細胞における有効性が確認されており、病気の進行を抑えることが期待される。
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・国立精神・神経医療研究センター