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食習慣は側弯症の発症に関係ないことが判明-慶大ら

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2019年11月06日 AM11:30

女子小中学生の1~2%で発症する「

慶應義塾大学は10月31日、日本人の思春期特発性側弯症()に関連する生活習慣について調査し、側弯症と食習慣には明確な関係はないことを見出したと発表した。この研究は、同大医学部整形外科学教室の松本守雄教授、渡邉航太准教授、東邦大学医学部社会医学講座衛生学分野の西脇祐司教授、朝倉敬子准教授らの研究グループが、東京都予防医学協会と共同で行ったもの。研究成果は、人間栄養学分野の総合科学雑誌「Nutrients」に掲載されている。

側弯症は小学校高学年~中学生に発症する疾患で、成長するにしたがって背骨が捻じれるように湾曲する。9割以上が女児で、発生率は女子中学生の1~2%と言われている。

側弯症発症の原因に関して、遺伝子、生活環境、ホルモンバランス異常、神経系の異常、力学的な要因など多くの研究報告があるが、慶應義塾大学医学部整形外科学教室の研究グループは、理化学研究所骨関節疾患研究チームと共同で、側弯症の発症に関連する遺伝子の研究を行い、多くの関連遺伝子を発見している。しかし、スウェーデンの研究で遺伝子の影響は発症原因の60%程度と報告され、近年では再び胎内環境や出生後の生活環境、スポーツ歴、生活習慣なども関与していると考えられている。一方で、食習慣が側弯症に与える影響を検討した詳細な研究はこれまでになく、側弯症予防のために摂取すべき栄養素・食品などについて明確な答えはなかった。

いずれの栄養素とも明確な関連性見られず

研究グループは今回、2013~2015年に側弯症二次検診を受診した女子中学生2,431人を対象に調査を実施。まず、対象者のX線写真を撮影し、それを用いて専門医が骨のコブ角を計測。臨床的な診断基準に基づき、コブ角15度以上を側弯症と定義した。また、身長、体重の計測を行い、生理の状態や生活習慣に関する質問票、さらに簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ15y)を用いた調査を行った。

その結果、今まで関連があると考えられていたカルシウム、ビタミン D、ビタミンAやB6、銅、マンガンなどの栄養素摂取量は、いずれも側弯症と明確な関連はなく、これらの栄養素を多く含む牛乳・乳製品、魚介類、肉類などの食品摂取量も側弯症と明確な関連はないことがわかった。

研究者は今回の結果について以下のように考察している。同研究への参加者は、全員1次検診で「側弯の疑いあり」とされた女子中学生であり、一般集団を対象とした研究ではない。また、生後~中学生になるまでの全期間の食習慣調査ではなく、調査前1か月間の食習慣を調査したものである。しかし、食習慣は長期にわたり継続するとの研究も存在し、限定された期間についての食習慣に関する情報であっても、長期的な摂取量の多寡を反映していると考えられる。さらに、側弯症と診断される情報と食習慣の情報を同時に収集しているため、食習慣が原因で、側弯症は結果という因果関係の方向の証明を厳密にすることは難しいと推察される。一方で、同研究では参加者数が2,431人と十分に確保されており、参加者全員が専門医にX線写真による側弯の診断を受けているため、診断の信頼性が高いと思われる。また、食習慣の情報も妥当性の確認された食事調査法で収集されており、2年間という短い間に収集されたデータであることから、世代による生活習慣の変化の影響も受けにくい。先行研究では、肥満度を表すBMIについて、BMI18.5未満の痩せ傾向にある女児に側弯が多いことが報告されており、摂食障害、過剰な運動、低骨塩量、ホルモンバランス異常と側弯症との関連が示唆されている。これらに関する詳細な研究については、今後の課題と考えられる。本研究結果は、側弯症で悩む児童やその家族への生活指導において、有効な情報になると考えられる。

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