脂肪組織のエクソソームは全身的な代謝制御に寄与するのか
大阪大学は10月4日、アディポネクチンとエクソソームを介した脂肪組織による新しい代謝調節概念を提唱したと発表した。この研究は、同大学大学院医学系研究科の喜多俊文寄附講座講師、前田法一寄附講座准教授、下村伊一郎教授(内分泌・代謝内科学)らの研究グループによるもの。研究成果は、米国科学誌「Journal of Clinical Investigation」にて公開された。
これまで、ホルモンやサイトカインなどが臓器間の情報伝達に直接的に働き、全身的な代謝調節を担っていると考えられてきた。しかし、近年、脂肪組織自体のエクソソーム産生が全身的な代謝制御に寄与することがいくつか報告されている。
脂肪組織は、エネルギー貯蔵とアディポサイトカインの分泌によって全身的代謝調節に寄与すると考えられているが、脂肪組織自体やアディポネクチンを介して産生されるエクソソームによる代謝調節については明らかになっていなかった。
アディポネクチン<T-カドヘリン発現細胞<エクソソーム産生促進<全身の内分泌・代謝調節
今回、研究グループは、アディポネクチンが骨格筋や心筋、血管内皮細胞などのT-カドヘリン発現細胞に作用し、エクソソーム産生を促進することで全身の内分泌・代謝調節に重要な役割を担うことを明らかにしたという。
画像はリリースより
今後、血中のエクソソームレベルを調べることで代謝性疾患やその合併症に対する新しい診断・治療の発展が期待される、と研究グループは述べている。
▼関連リンク
・大阪大学 研究情報