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理研 ストレスに対する防御応答のバランスを保つ機構の一端を解明

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2013年11月22日 PM08:08

Hfqによるタンパク質合成の調整機構

独立行政法人 理化学研究所は、大腸菌を用いて、生物が持つストレスに対する防御応答のバランスを保つ機構の一端を発見した、と11月7日発表した。これは、同研究所の放射光科学総合研究センターの米倉功治准主任研究員らのグループによる成果である。

(画像はプレスリリースより)

カタラーゼとHfqの複合体

生物は、温度変化や活性酸素、紫外線などのストレスに適応するため、さまざまなストレス応答タンパク質の産生量をコントロールし、生存のための防御応答を行っている。ストレス環境下では、Hfqというタンパク質がRNAと結合することで、ストレス応答タンパク質の合成を制御している。このHfqが、重要な機能を持っていることは分かっていたが、その合成制御の分子機構においては、ほとんど解明されていなかった。

今回研究グループは、大腸菌をストレス環境下で育成。すると、活性酸素の一種である過酸化水素を分解する酵素カタラーゼとHfqが、大きな複合体を形成することを発見したという。

Spring-8で複合体の立体構造を解析

この複合体は、大型放射光施設Spring-8で構造解析した結果、HfqのRNAとの結合に関与する部位にカタラーゼが結合していることがわかった。細菌内に多量のカタラーゼが存在するときにこの複合体ができ、HfqがRNAと結合できなくなってカタラーゼを含むストレス応答タンパク質の過剰な合成が抑制された結果、防御応答のバランスが保たれることが示唆されている。

複合体形成による防御応答バランス調節

過酸化水素が多量に生成されるストレス環境では、カタラーゼの合成が促進されることが知られているが、今回の成果から、カタラーゼの過剰合成がHfqとの複合体形成によって調節される機構が明らかとなった。細胞分裂や細胞内の代謝によって、合成されたタンパク質の濃度は時間とともに低下する。Hfqとカタラーゼの結合は強いものではなく、どちらかもしくは両方の量が減ると複合体形成が抑制され、タンパク質の合成を調節するHfq本来の機能を発揮すると考えられる。

生物の生存には、多様な環境への順応と、環境ストレスに対する防御応答が重要である。今回、Hfqが関与するタンパク質の翻訳調節によるストレスへの応答が、立体構造によって明らかになり、Hfqなどが関係する生命活動への理解が深められた。また、立体構造の情報をもとにしたタンパク質合成制御機構の解明手法は、今後、さまざまな生物工学への応用が期待される。(長澤 直)

▼外部リンク

独立行政法人理化学研究所 プレスリリース
http://www.riken.jp/

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