骨欠損が大きいと、標準手術では術後不良に
順天堂大学は9月25日、脱臼または亜脱臼を利き手側で4回、非利き手側では5回、ラグビー選手が繰り返した場合、骨欠損が危険な大きさになりやすいことを見いだしたと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科整形外科・運動器医学の金子和夫教授、川崎隆之准教授、長谷川圭紀医員らの研究グループによるもの。研究成果は「The American Journal of Sports Medicine」に掲載されている。
画像はリリースより
ラグビー競技では、選手間の接触や転倒などによる肩関節の脱臼・亜脱臼(外傷性肩関節不安定症)が非常に多い。脱臼は「クセになりやすい」といわれ、一度、脱臼・亜脱臼を受傷した選手のうち約半数が1シーズンで再脱臼を起こしていることがわかっている。また、脱臼・亜脱臼では、受傷に伴い、肩関節を構成する肩甲骨の関節窩前縁と上腕骨頭後外側が欠ける「骨欠損」が生じることが知られているが、これまでの研究で、脱臼・亜脱臼を繰り返すほど肩関節の骨欠損が大きくなることがわかっている。骨欠損が大きくなると標準的な手術では対応できないため、選手が脱臼・亜脱臼を繰り返して骨欠損の状態が手遅れになる前に治療を行う必要がある。しかし、これまで具体的に何回程度の受傷で、骨欠損が危険な大きさに達するのかはよくわかっていなかった。そこで、ラグビー選手が肩関節の脱臼・亜脱臼を何回繰り返すと骨欠損が危険な大きさになりやすいのかを明らかにすることを目的に研究が行われた。
約2割の選手は関節窩骨欠損25%以上、早期の骨欠損の評価が重要
研究では、2011~2016年の間に肩関節脱臼の治療のために順天堂医院を受診したラグビー選手のうち、競技レベルでプレーをしており、復帰を望み、手術歴のない144肩を対象として、CT検査で肩関節の骨欠損の程度を評価した。脱臼・亜脱臼回数、利き手側の受傷かどうか、年齢、BMI、プレーレベル(全国大会レベルかどうか)、カテゴリー(社会人・大学・高校)、ポジション(フォワード、バックス)、弛緩性(関節が軟らかいかどうか)などの特徴をカルテから抽出し、CT検査で評価した骨欠損を程度に応じて危険域、準危険域、安全域の3つに分類して、選手の特徴との関係を分析した。
研究で定義した「危険域」は過去の調査から、関節唇形成術という標準的な手術を行っても安定性が得られない大きさ(関節窩骨欠損25%以上、骨欠損同士の噛み込みあり)とし、「準危険域」は実際に患者に対して手術を行ったものの再脱臼が起こりやすかったり、痛みなどの不満を残すことが多い骨欠損の大きさ(関節窩骨欠損13.5%以上)とした。
その結果、約2割で骨欠損が危険域に達しており、約6割が準危険域に達していた。また、骨欠損が危険域、準危険域になるには、「脱臼・亜脱臼の回数」、「受傷した肩が利き手側かどうか」が関係することがわかったが、プレーレベル、カテゴリー、ポジション等、その他の特徴については関係がなかった。脱臼・亜脱臼の回数については脱臼と亜脱臼を区別なくカウントすることが最もよい指標となった。また、脱臼・亜脱臼を何回起こすと骨欠損が危険域、準危険域となりやすいかを統計解析したところ、危険域になるのは利き手側で6回、非利き手側で9回、準危険域になるのは利き手側で4回、非利き手側で5回という結果が明らかになった。利き手側での受傷が少ない回数で危険域になりやすい理由として考えられるのは、タックル時の衝撃が非利き手側と比べて強いことが考えられるという。
その結果、約2割で骨欠損が危険域に達しており、約6割が準危険域に達していた。また、骨欠損が危険域、準危険域になるには、「脱臼・亜脱臼の回数」、「受傷した肩が利き手側かどうか」が関係することがわかったが、プレーレベル、カテゴリー、ポジション等、その他の特徴については関係がなかった。脱臼・亜脱臼の回数については脱臼と亜脱臼を区別なくカウントすることが最もよい指標となった。また、脱臼・亜脱臼を何回起こすと骨欠損が危険域、準危険域となりやすいかを統計解析したところ、危険域になるのは利き手側で6回、非利き手側で9回、準危険域になるのは利き手側で4回、非利き手側で5回という結果が明らかになった。利き手側での受傷が少ない回数で危険域になりやすい理由として考えられるのは、タックル時の衝撃が非利き手側と比べて強いことが考えられるという。
実際の競技現場では、脱臼・亜脱臼をしても、医療機関を受診せずに様子を見たり、我慢してしまう選手がしばしば見受けられる。「繰り返す脱臼・亜脱臼に悩む選手は、早期(3回まで)に医療機関を受診し、骨欠損の評価および治療を受けることで、標準的な手術で対応できなくなることや術後不満を抱えやすい状態になることを防ぐことができる」と、研究グループは述べている。
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・順天堂大学 プレスリリース