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SGLT2阻害薬、糖尿病性腎臓病の抑制効果に朝の血圧改善が重要と判明-横浜市立大

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2019年09月05日 AM11:45

アルブミン尿を呈する2型糖尿病、腎臓病進行リスクが約8倍

横浜市立大学は9月3日、糖尿病治療薬SGLT2阻害薬が示す、2型糖尿病患者のアルブミン尿抑制効果には、朝の家庭血圧の降圧が重要であることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大学学術院医学群 循環器・腎臓・高血圧内科学の金口翔助教、涌井広道講師、田村功一主任教授、内分泌・糖尿病内科学の寺内康夫主任教授、臨床統計学の山中竹春主任教授ら研究グループが、横浜市立大学附属病院次世代臨床研究センター(Y-NEXT)の支援を受けて行ったもの。研究成果は、「Cardiovascular Diabetology」に掲載されている。


画像はリリースより

糖尿病の合併症の中でも腎臓合併症の糖尿病性腎臓病は、透析や移植が必要となる末期腎不全の原因の第1位で、糖尿病性腎臓病の克服は重要な課題とされている。これまでの日本人2型糖尿病患者を対象とした大規模研究(JDCS研究)では、特にアルブミン尿を呈する患者で糖尿病性腎臓病が進行するリスクが8.45倍に上昇することが報告されている。同様に日本人2型糖尿病患者を対象とした研究で、心血管病のリスクは、アルブミン尿が改善した患者で75%低下したのに対し、悪化した患者では逆に約2.6倍に増加がみられる。したがって、2型糖尿病におけるアルブミン尿は心血管腎臓病の源流として、重要な早期治療の標的に位置付けられている。2型糖尿病の経口血糖降下薬としては、従来からビグアナイド薬、速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)などがあり、新しくは SGLT2 阻害薬()も使われている。

SGLT2阻害薬は高血糖、高血圧の抑制に寄与

研究グループは、アルブミン尿を呈する2型糖尿病性腎臓病患者85人を対象に、Y-AIDA研究(ダパグリフロジンのアルブミン尿抑制効果に関する多施設共同試験)を実施。SGLT2阻害薬の効果について、主要評価項目としてアルブミン尿への影響について検討するとともに、糖代謝指標(空腹時血糖、HbA1c)、血圧指標(診察室血圧、)などに与える影響についても多面的に解析した。

その結果、SGLT2 阻害薬の24週間投与により、主要評価項目のアルブミン尿の減少が認められた。また、副次評価項目の、肥満指数(BMI)、診察室血圧、空腹時血糖、HbA1cにおいても改善を認めた。そして、通信システムによる自動通信機能を利用しての家庭血圧測定の結果では、朝(起床後)血圧、晩(就眠前)血圧、夜間就眠中血圧、そして家庭血圧変動指標の改善が認められた。さらに重回帰分析の結果では、朝の家庭血圧の改善がSGLT2阻害薬によるアルブミン尿の抑制に関連していた。

2型糖尿病は高血圧を合併することが多く、また、日本人には食塩感受性高血圧も多くみられる。最新の高血圧治療ガイドライン2019()では、利尿薬は主要選択薬とされ、糖尿病合併高血圧に対する第一選択薬降圧薬としても、レニン・アンジオテンシン系阻害薬(ARB・ACE阻害薬)、Ca拮抗薬、利尿薬が、併用療法を含めて推奨されている。SGLT2阻害薬は降圧利尿薬の分類には該当しないが、これまでの研究から、ナトリウム利尿効果、降圧効果、そして心血管腎臓病の抑制効果が報告されている。

今回の研究成果により、SGLT2阻害薬が、2型糖尿病患者において、次世代の降圧薬としても有用である可能性が示された。研究グループでは、引き続き心血管腎臓病に対する診察室血圧・診察室外血圧(家庭血圧、自由行動下血圧)での血圧変動指標を軸にした包括的治療戦略研究を推進し、エビデンス創出に向けての研究展開を図っていくとしている。

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