進展型小細胞肺がんへ、17年ぶりの新たな薬物治療選択肢
中外製薬株式会社は8月22日、改変型抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体「テセントリク(R)点滴静注1200mg」(一般名:アテゾリズマブ(遺伝子組換え))について、進展型小細胞肺がんに対する適応拡大について、厚生労働省より承認を取得したと発表した。進展型小細胞肺がん患者に対する薬物治療としては、17年ぶりの新たな選択肢となる。
今回の承認は、国際共同第1/3相臨床試験(IMpower133試験)の成績に基づくもの。IMpower133試験では、テセントリクと化学療法(カルボプラチン及びエトポシド)の併用は、ITT(Intent to treat)解析集団において、化学療法単独に比べ主要評価項目の全生存期間(OS)の延長を示すとともに(OS中央値:12.3か月vs10.3か月、ハザード比:0.70、95%信頼区間:0.54-0.91、p=0.0069)、同じく主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の延長を示した(PFS中央値:5.2か月vs4.3か月、ハザード比:0.77、95%信頼区間:0.62-0.96、p=0.017)。
テセントリクと化学療法の併用療法による安全性プロファイルは、これまで各薬剤で認められている安全性プロファイルと一致しており、同併用療法で新たな安全性のシグナルは確認されなかった。
テセントリク、乳がんに対する適応拡大を申請中
日本人における肺がんの年間罹患者数は12万5,100人と推計されている。また国内の死亡者数は7万7,500人(2018年予測値)であり、がんに伴う死亡原因の第1位となっている。肺がんは組織型により小細胞肺がんと非小細胞肺がんに大別され、小細胞肺がんは全肺がんの約10~15%を占める。小細胞肺がんは腫瘍の増殖能が高く、早期に広範な転移が生じることが特徴だ。
テセントリクは、2018年4月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果として販売を開始し、同年12月に「化学療法未治療の扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対する用法・用量の追加承認を取得。現在、乳がんに対する適応拡大を申請している。
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・中外製薬株式会社 ニュースリリース