2型糖尿病で腎疾患併発患者を対象に長期間・大規模調査
金沢大学は7月31日、2型糖尿病で腎疾患を併発した患者の比較検証を行った結果、タンパク尿の有無が腎機能の経過や生命予後において重要だということを明らかにしたと発表した。この研究は、同大医薬保健研究域医学系の和田隆志教授らの研究グループが、全国18の医療機関の研究者と共同で行ったもの。研究成果は国際学術誌「Diabetes Care」にオンライン掲載されている。
画像はリリースより
糖尿病患者はタンパク尿などの腎疾患を併発することが多く、その原因は、腎臓の糸球体に障害が発生するためと考えられてきた。しかし、昨今の研究から、2型糖尿病患者では腎機能が低下しているにも関わらず、腎疾患症例の約4割はタンパク尿の進展がみられないことが確認されている。今回の研究では、昭和60年1月から平成28年12月までの間に各医療機関において腎臓組織の一部を採取し検査を実施した腎生検レジストリーを解析し、インスリンの機能低下による代謝異常を特徴とする2型糖尿病で腎疾患を併発した患者の比較検証を行った。
タンパク尿を示さない患者群は腎症進行イベントのリスク小
研究グループは、2型糖尿病で腎疾患を併発し、かつ生検を行った患者のフォローアップを統計学的な手法を用いて比較検証した。その結果、タンパク尿を示さない患者群はタンパク尿を示す患者群より、腎不全などの腎症進行イベントを起こす率および生存率のいずれもが有意にリスクが小さいことが明らかになった。
「今後、非タンパク尿のままでいるメカニズムや腎保護作用のメカニズムについての研究を進展させることにより、腎不全の進行抑制につながることが期待される」と、研究グループは述べている。
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