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複数機関のゲノム情報、プライバシー侵害リスクを抑えて結合解析できると実証—AMED

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2019年07月30日 PM12:00

NECと阪大との共同研究、「」をゲノム解析システムへ適用

(AMED)は7月24日、データを暗号化したまま解析できる秘密計算をゲノム解析システムへ適用する実証を行い、解析者が自らの解析手法を秘密計算化できるツールが実用レベルにあることと、計算処理自体も実用レベルの高速性を持つことを確認したと発表した。この研究は、日本電気株式会社()と、大阪大学大学院医学系研究科の中谷明弘特任教授らのグループが、AMED臨床ゲノム情報統合データベース整備事業 「認知症臨床ゲノム情報データベース構築に関する開発研究」の支援のもと、同大大学院医学系研究科医療情報学の松村泰志教授の協力によるゲノム情報学共同研究講座において実施したもの。


画像はリリースより

近年、個人のゲノム情報に適した効果的な薬を開発するため、ゲノムと疾病の関係を解析するゲノム解析が活発化している。しかし、解析で使用するこれらのデータは機微性が極めて高い個人情報であるため、医療機関や研究機関間で共有することは容易ではなかった。秘密計算はデータを秘匿したままさまざまな演算処理ができるため、複数の医療・研究機関から、ゲノム情報や疾病情報を秘匿した状態で結合解析できる手段として期待されている。一方で、従来の秘密計算は、複雑な処理により計算速度が極度に遅く開発が容易ではないため、ゲノム解析への適用は困難とされていた。

個別化治療の研究を含めた先端医療の発展に貢献

研究グループは、同大学が行っているゲノム解析に、NECが2016年に開発した高速かつ開発が容易になる秘密計算を適用。安全なゲノム解析が実用的な時間で実行可能であるかについて実証を行った。具体的には、同大学が開発した、複数の医療・研究機関が保有するゲノム情報や疾病等に関する情報を統合して解析する「解析アプリケーション」(DSビューア)にNECの秘密計算を適用することで、複数の医療・研究機関が保有するゲノムや疾病等の情報を秘匿したまま収集し、ゲノム変異の頻度を解析。さらに、プライバシー侵害が起こらないよう集計値が一定数以上の場合のみ、その集計結果を開示する処理を行った。

その結果、年代ごとのゲノム変異頻度の解析について、異なる複数の研究機関が有する約8,000人のゲノム情報を約1秒で結合解析できることを確認。これにより、ゲノムや疾病等の情報を異なる研究機関間で開示し合うことなく、秘匿したまま結合解析するゲノム解析が実用的な時間で実行可能となる。

また、今回の実証では、同大学独自の解析アルゴリズムに対して、NECが開発した秘密計算の開発支援ツールを用いると、専門家が1か月程度かかる秘密計算の適用を、一般のシステムエンジニアが数日程度で完了できることも確認した。これにより、さまざまなゲノム解析への秘密計算の適用が可能となる。NECと阪大は、引き続き秘密計算をゲノム解析に適用する検証を進めていく予定だ。これにより、各医療機関・研究機関が持つゲノム情報と診療情報を患者のプライバシー情報を保護しつつ互いに活用することが可能になり、個別化治療の研究を含めた先端医療の発展に貢献できるものとして、今後期待が寄せられている。

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