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アルツハイマー病の発症に「USP10タンパク質」が関与していると判明-新潟大

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2019年07月26日 PM01:45

アルツハイマー病の発症にかかわる、タウタンパク質の凝集体形成

新潟大学は7月22日、神経細胞において、USP10タンパク質がタウタンパク質の凝集化を開始させることを発見した。同研究は、USP10タンパク質がアルツハイマー病の発症に関与することを示したもの。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科ウイルス学分野の髙橋雅彦准教授、Piatnitskaia Svetlana大学院生、藤井雅寛教授らの研究グループによるもの。研究成果は「Scientific Reports」に掲載されている。


画像はリリースより

アルツハイマー病は、認知症を引き起こす最も頻度が高い疾患。アルツハイマー病の発症は、リン酸化し、かつユビキチン化したタウタンパク質の異常な凝集体が深く関与する。加齢、酸化ストレス、慢性炎症など長期間に渡るストレスに曝されると、神経細胞中のタウタンパク質が凝集体を形成する。このタウタンパク質の凝集体は神経毒性を持ち、神経細胞の機能を低下させ、神経細胞を死滅させ、アルツハイマー病を発症させる。しかし、タウタンパク質の凝集体形成の分子機構、特に、その最初のステップについては多くのことが不明だった。

USP10は、脱ユビキチン化酵素活性を持つタンパク質のひとつで、パーキンソン病の発症に関与することが報告されている。

ストレス顆粒は、さまざまなストレスによって誘導されるRNAとRNA結合タンパク質の複合体。これまでの研究から、ストレスに曝された神経細胞において、タウタンパク質がストレス顆粒に局在し、凝集体を形成すること、また、このタウ凝集体が、アルツハイマー病の発症に深く関与することが報告されている。

USP10を標的としたアルツハイマー病治療薬の可能性示唆

研究グループは今回、培養神経細胞を用いた実験を行った。

まず、USP10を細胞に過剰発現させると、リン酸化したタウタンパク質の量が増加。また、アルツハイマー病患者の脳病変において、USP10はリン酸化したタウタンパク質と凝集体を形成していた。これらの結果は、USP10がタウタンパク質の凝集体形成を誘導することを示しているという。

次に、USP10の発現を低下させると、タウ陽性のストレス顆粒の形成が低下。アルツハイマー病患者の脳病変において、USP10はリン酸化したタウの凝集体に共局在していた。これらの結果は、USP10がタウの凝集体形成に関与することを強く示唆している。同時に、USP10を標的としたアルツハイマー病の治療薬の可能性も示している。

リン酸化したタウタンパク質の凝集体はアルツハイマー病を含む様々な神経変性疾患(タウオパチー)の発症に関与している。研究グループは今後、これらの疾患に、USP10がどのように関与するのかを解析する予定。また、USP10を標的とした治療薬についても研究を進めていく予定としている。

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