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日本初、網膜色素変性に対する遺伝子治療の医師主導治験を実施-AMED

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2019年06月24日 PM12:00

網膜に存在する視細胞が徐々に失われていく遺伝性の難病

日本医療研究機構()は6月20日、網膜色素変性に対する遺伝子治療の医師主導治験おける被験者への治験製品(遺伝子導入ベクター)の投与を実施したことを発表した。今回の医師主導治験は、九州大学病院眼科の池田康博の医師によるもの。治験届は2019年1月15日に提出され、6月4日に治験プロトコルに従って実施された。なお、被験者はすでに退院している。

網膜色素変性は、網膜に存在する視細胞が徐々に失われていく遺伝性の疾患。約5,000人に1人の頻度でみられ、青年期より発症し、やがて失明に至る可能性があるとされる。すでに50種類以上の遺伝子異常が原因として明らかになっているが、現状では有効な治療法がなく、厚生労働省から難病指定されている。

網膜色素変性患者の失明防止に期待

今回の医師主導治験では、網膜色素変性に対し、遺伝子治療という新しい治療法を応用。遺伝子治療とは、治療するための遺伝子をベクターを用いて投与する方法で、今回は神経栄養因子であるヒト色素上皮由来因子(hPEDF)の遺伝子を搭載した、サル由来レンチウイルス(SIV)(SIV-hPEDF:開発コードDVC1-0401)を、患者の目に注射した。

神経栄養因子というタンパク質は、神経細胞を保護する作用がある。このタンパク質が目の中で産生されることにより、視細胞の喪失を防ぎ、視力悪化の予防が期待されている。眼科における遺伝子治療の治験は、同治験が国内で初めての試みとなる。

同治験は、治験製品DVC1-0401の網膜下投与の安全性の検討と、視機能障害の進行抑制効果を評価することを目的としている。治験実施計画書(プロトコル)では、まず第1ステージとして4名の被験者に低用量の治験製品を投与することとなっている。2019年6月4日に第1症例目となる女性にDVC1-0401を投与し、被験者は6月12日に退院している。今後は外来で、注意深く経過観察を行っていく予定だという。

今回の医師主導治験で安全性と有効性が確認され、治療薬としての開発につながれば、網膜色素変性に悩む患者の失明防止に向けた大きな一歩になると期待されている。また、治験製品であるDVC1-0401は株式会社IDファーマが開発した国産遺伝子導入ベクターで、その保険医療分野に果たす役割は大きいと考えられる。研究グループは、「第1ステージ4名において治験製品に関連した重篤な副作用の有無などの安全性を検証しながら、第2ステージで4名の被験者に中用量の治験製品を、最終的には第3ステージで4名の被験者に高用量の治験製品を投与する」としている。

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