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AI導入で、「医療・ヘルスケア」の未来はどう変わるのか?-Ubie

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2019年06月21日 PM06:00

第3次AIブーム、医療においての活用が始まっている

昨今のコンピュータ技術の飛躍的な革新により、第3次人工知能()ブームと言われる今、医療の領域においてもAIの利活用が始まりつつある。医療にAIが導入されることにより、診療の効率化をはじめとした多くの恩恵が期待される一方で、医療従事者を含む国民のAIに対する理解は必ずしも十分とは言えず、AIという先端技術に「漠然とした不安」を持つ者が多いという現状がある。


 目々澤肇理事

AIの医療への導入事例の認知や技術的背景の理解促進に向け、Ubie株式会社は6月18日、「医療従事者・患者に寄り添うAI×医療サービスとは?」と題してメディアラウンドテーブルを開催した。同社は2017年創業の、AI問診サービスを開発するヘルステック企業。ラウンドテーブルでは、同社が開発した「AI問診 Ubie」を導入している、目々澤病院の院長で、公益社団法人東京都医師会の目々澤肇理事が、「昨今のAI医療サービスにおける動向~医療制度、医師の働き方などさまざまな視点から~」と題して講演を行った。

目々澤理事は、東京都医師会理事として、東京都総合医療ネットワークや東京都多職種連携ポータルなどを取りまとめ、ICT活用の推進に努めている。平成31年3月には、東京都医師会の尾崎治夫会長の諮問に対し「ICTを普段着の医療ツールとして使うために」と題した答申を提出。今回は、その中の1項目である、「AIが変える未来の医療・ヘルスケア」にフォーカスした内容の講演となった。

まず、これまでの3つのAIブームを振り返り、現在の波である人工知能、機械学習、ディープラーニングの意味と、概念上の関係性、および、従来の統計学とAIとの違いを簡単に説明。その後、国内外での、医療におけるAIの研究・活用事例(内視鏡画像診断支援、糖尿病性網膜症の判定、インフルエンザ診断支援等)を、次々と紹介した。

AI活用には、まずビッグデータを「使える状態」にすることが必要

このような研究や事例が進む中、日本でもAIの活用を推進するためには、医療ビッグデータを「使える状態」とするのが課題であると、目々澤理事は指摘。現状では、個人情報保護についての問題が十分に整備されていないため、集まったデータがほとんど使える状態にないという。国はこの問題を克服するために、「」を定め、平成30年5月に施行した。同法は、デジタルデータを活用した次世代の医療分野の研究、医療システム、医療行政を実現するための基盤として、デジタル化した医療現場から、アウトカムを含む多様なデータを大規模に収集・利活用する仕組みを設けるもの。匿名加工の方法については、まだ解決すべき課題があるものの、次世代医療基盤法にのっとって、AI活用も含め、医療が進んでいくのだろうと、目々澤理事はみている。

目々澤理事は、AIがコンピュータ上で実現されるソフトウェアである限り、人間の活動すべてが数式で表せない限り、AIは人間にとって代わることはなく、したがってシンギュラリティも到来しないと主張。さらに、「厚労省通達では、AIを用いた診断支援を行うプログラムを利用して診療を行う場合、診断治療等を行う主体は医師である、その医師が責任を取ると、宣言している。AIは今のところ、鉄腕アトムではなく鉄人28号。良いも悪いもリモコン次第」と、締めくくった。

「AI問診Ubie」で、初診時間を1人あたり7分短縮

ラウンドテーブルでは、次にUbie共同代表取締役の阿部吉倫氏と久保恒太氏が、2017年にリリースした「AI問診Ubie」について解説。同システムは、多くの医療機関で、紙で一律に行われている事前問診を、患者自身によるタブレット入力でデジタル化し、自然言語処理により専門用語に変換した状態で、医師が診察時に見る電子カルテの画面に自動入力されるもの。このシステムの導入により、外来初診にかかる時間を大幅に短縮することが可能となる。すでに、内科を中心に複数の医療機関に導入されており、初診患者1人あたりの問診時間が10分から3分半に短縮した事例もある。Ubieを利用した問診データは現在、10万件程度蓄積しているという。

同システムには、問診データと大量の論文を基に、「予測病名リスト」を提案する機能もある。現在この機能については、「診断支援に用いるものではなく、あくまでも医師が参考程度に閲覧するもの」と、阿部氏は強調。同社は今後、蓄積していくデータをシステムの学習に活用し、また、運用機関からのフィードバックを得ながら、精度向上とサービス拡大を行っていくとしている。(QLifePro編集部)

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